
“そんなヒロシに騙されて”では松田 弘のドラムブレイクも炸裂
「この曲がなかったら、45周年のライブなんてできなかったと思います」――そう語り、原が届けたのは“私はピアノ”(1980年)。ソロデビューよりも前、46年前にサザンオールスターズとして初めてリードボーカルを取ったこの楽曲は、原の音楽人生の原点そのものだ。ダンサーが舞台に登場し、妖艶なメロディに観客の身体が自然と揺れる。松田 弘が紡ぐコーラスラインと原の歌声が交差するたびに、長年ともに音楽を作り上げてきた盟友との絆が静かに輝き、エモーショナルな感情が波のように押し寄せた。
「そろそろ盛り上がっていきましょうか!」のかけ声とともにモータウンビートが炸裂した“恋は、ご多忙申し上げます”(1983年)では、観客が一斉に総立ちとなりステージには煌めくガーランドが現れ、客席はたちまちダンスホールに変貌。フレンチポップのようにレトロでキッチュな魅力が横溢する“ハートせつなく”(1991年)へと続き、次から次にアップテンポな曲を繰り出していく。
60年代のダンスクラブを思わせるネオンの世界に舞台が染まり、“スローハンドに抱かれて(Oh Love!!)”(2022年)が始まった。スクリーンにはエリック・クラプトンをはじめ、ザ・ビートルズなどをイメージしたイラストが次々と現れ、60年代洋楽ロックへの深いリスペクトと愛が溢れた熱気あふれるパフォーマンスに会場のボルテージが上がっていく。さらに会場を熱狂と興奮の渦に巻き込んだのは銀テープが飛び出しダンサーたちが一斉に登場した、“じんじん”(1991年)だ。ハンドマイクを手にした原が歌い始めると、観客は大きく体を揺らし大盛り上がり。大歓声と拍手のなか、本編が終了した。
アンコールのメドレーコーナーでは、ザ・ベンチャーズ“Walk Don’t Run”からザ・ピーナッツ“恋のフーガ”へと賑やかにつなぎ、お馴染みのギターリフが響くなか“そんなヒロシに騙されて”(1983年)が始まると拍手喝采。ツイストダンスで観客の手拍子を煽りながら、歌の途中の〈そんなヒロシが〉の部分で松田 弘がドラムブレイクを複数回炸裂させるユーモアたっぷりの演出に、会場は笑いと熱狂の渦に包まれた。
そして改めて来場した観客一人ひとりへ感謝を述べ、ラストソング“花咲く旅路”(1991年)へ。人生をひとつの旅路に例え、日本の原風景を彷彿とさせる言葉が連なるこの楽曲。この季節ならではな満開の桜を背に歌う原 由子。ツアーファイナルの締めくくりとして、これ以上ふさわしい1曲はなかった。〈おだやかに ああおだやかに〉と歌われる言葉は、これから訪れる初夏の風景を目の前に浮かび上がらせながら、45年の歩みを温かく、誇らしく肯定してくれるようでもあった。演奏が終わり、会場に広がったのは万感の拍手。原 由子のソロ45周年を祝う4日間の旅は、鎌倉の地で静かに、そして力強く幕を閉じた。
SETLIST
伊右衛門 presents 原 由子 45th Anniversary Live「京都・鎌倉物語 2026」
2026年4月7日(火)神奈川・鎌倉芸術館 大ホール
1. あじさいのうた
2. 春待ちロマン
3. 恋の歌を唄いましょう
4. シャボン
5. Anneの街
6. 少女時代
7. 鎌倉 On The Beach
8. うさぎの唄
9. 夕方Friend
10. いちょう並木のセレナーデ
11. 唐人物語(ラシャメンのうた)
12. 旅情
13. 鎌倉物語
14. 京都物語
15. 私はピアノ
16. 恋は、ご多忙申し上げます
17. ハートせつなく
18. スローハンドに抱かれて(Oh Love!!)〜いとしのレイラ(カバー)
19. じんじん
ENCORE
20. Walk Don’t Run(カバー)〜恋のフーガ(カバー)〜そんなヒロシに騙されて
21. 花咲く旅路
セットリストプレイリスト:https://taishita.lnk.to/hara2026live
※配信中の楽曲のみで構成