今年で熱血画道40周年(!)を迎えた漫画家・車田正美の代表作にして、バトル系コミックの金字塔的作品「聖闘士星矢」。聖衣(クロス)と呼ばれる鎧を纏った聖闘士(セイント)たちの戦いを描いた一大サーガは、誕生から30年近くが経つ現在も、今年3月まで放送されたTVアニメ「聖闘士星矢Ω」をはじめ数々の関連/派生コンテンツを生み出し、少年少女たちの心に熱い小宇宙(コスモ)を注ぎ続けている。
その10年ぶりの劇場作品として制作されたのが、シリーズ初のフル3DCGアニメ作品「聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY」だ。車田みずから製作総指揮を務め、本編屈指の人気エピソードである〈聖域十二宮編〉のリメイクというだけでファンは必見と言えるが、何より特筆すべきはCGの圧倒的なクォリティーだろう。「TIGER & BUNNY」「アシュラ」といった作品でCGと作画を巧みに組み合わせ、アニメ表現の拡張に挑んできたさとうけいいち監督のリードにより、場面によっては実写と見まごうばかりの実在感ある描写が実現。とにかくキャラが生身のように動きまくるし、すべての物体にリアリティーがあるので、素手で建物を破壊しまくる聖闘士の超人ぶりが余計に際立つ! 〈友情〉〈努力〉〈勝利〉の文字が浮かぶ王道の熱血ストーリーに加え、バトル・シーンで飛び交うド派手なエフェクトや、池頼広が手掛けたオーケストラ主体の重厚な劇伴、そしてエンディングで流れるYOSHIKI提供のテーマ曲“Hero(Yoshiki Classical Version)”の壮大なクロージング感も手伝って、例えば「スパイダーマン」のようなハリウッド制作のVFX大作に近い印象かもしれない。
また、主要キャラの声優陣も一新され(ヒロインの城戸沙織役はももいろクローバーZの佐々木彩夏が担当!)、聖衣もCGの特製を活かした精緻なデザインにリニューアル。特に黄金聖闘士たちの光沢に満ちた姿は本当に神々しく、最新のCG技術によって星矢伝説に新たな息吹が与えられた形だ。
なお、今回のソフト化に際し、初回限定生産のBlu-rayボックスも登場。TV版の主題歌だったMAKE-UP“ペガサス幻想”とのコラボによるオリジナルPVほか、オールド・ファン歓喜の映像を収めた特典ディスクや分厚い絵コンテ集などがドカッと詰め込まれている。ボックスのデザインが聖衣箱を模しているのも熱い! 君もこのアニメで小宇宙を感じよう!