“好きすぎて滅!”とも繋がる、侮れないカップリング曲
少し時間を進めて2021年、M!LKはついにメジャーデビューを果たす。2023年リリースのメジャー1stアルバム『Jewel』は、いずれの楽曲もサウンドの厚みや奥行きが増し、作品全体のクオリティも格段に上がった。反面、飛び道具的なトンチキソングが見当たらないのが寂しいが、それを補うようにM!LK自身がプロデュースした“ジブンエール”が収められているのが嬉しいところ。M!LKの5人が作詞を務めた底抜けにポジティブなポップチューンは、塩﨑が書いた〈ちょちょちょもーいっちょ〉というラインが聴く者の肩の力を抜いてくれる。誰か他人ではなく、まずは自分にエールを送ろうという発想がM!LKらしい。
そして、“イイじゃん”も収録されたメジャー2作目のアルバム『M!X』(2025年)で、M!LKは音楽性を拡張する。特に中盤の“Buffalo Shuffle”“Kiss Plan”“Diary”の流れは秀逸だ。BTS“IDOL”を連想させるアフリカンビートなダンスチューン“Buffalo Shuffle”はまさに新基軸で、欅坂46“二人セゾン”も手がけたSoichiroKとNozomu.Sが作曲した“Kiss Plan”ではアダルトでシックなM!LKを披露し、5人のウィスパーな歌声を堪能できるチルなスロージャム“Diary”へと続く。この3曲のセクションはぜひ通しで聴いてもらいたい。
『M!X』以降から“好きすぎて滅!”までの間に発表されたシングル“アオノオト”のカップリング曲“チラチLOVE”も、実は侮れない曲だ。音楽性の幅が広がった『M!X』には“好きすぎて滅!”の布石と言える楽曲は見当たらないが(“イイじゃん”も乱高下するメロディと目まぐるしく転調する“好きすぎて滅!”との共通点はあまりない)、KAWAII LAB.や電波ソングのエッセンスを感じる“チラチLOVE”のギミックの多さは、そのまま“好きすぎて滅!”にも採用されているような気がする。
“イイじゃん”のような驚天動地の1曲が生まれてしまうと、何かしらその弊害が出てくるものだ。例えば一発屋のカテゴリーに入れられてしまったり、その後にリリースした曲がどれだけ良くとも最も人気のある曲と比較され続けることにもなる。だが、M!LKは“イイじゃん”以前から1曲1曲と真摯に向き合い、どうすれば自分たちの歩む道が正しいものになるのか試行錯誤を繰り返してきた。自分たちの思う〈いい曲〉が、大勢のリスナーが抱く〈いい曲〉とイコールで結ばれた今、M!LKが歩んできた道はやはり正しかったのだ。


