2026年、L’Arc-en-Cielが結成35周年を迎える。8月には初出演となる〈SUMMER SONIC 2026〉でヘッドライナーを務め、10月からは全国各地のアリーナを巡る〈35th L’Anniversary TOUR〉の開催も控えている。

Mikikiでは、そんなL’Arc-en-Cielの歴史を全12枚のオリジナルアルバムとともに振り返っていく。第1弾に続く第2弾では、5thアルバム『HEART』から8thアルバム『REAL』までのレビューをお届けする。 *Mikiki編集部


 

『HEART』
by 森 朋之

L'Arc-en-Ciel 『HEART』 キューン(1998)

初めてオリコン1位となった前作『True』のリリース後、オリジナルメンバーの脱退を受け、ドラムスにyukihiroが加入。大きな試練と変化の時期を経て、新たなL’Arc-en-Ciel像を提示した記念碑的なアルバムだ。正確無比なビートを叩くyukihioが加わったことでアンサンブル全体がタイトになったことが最大の変化。tetsuya、kenのプレイも多彩になり、さらにストリングスやホーン、打ち込みの音源を大胆に取り入れたことで、幅広い音像を体感できる。

収録されたシングル曲は“虹”“winter fall”。特に壮大かつロマンティックなバラードナンバー“虹”は、フランス語で虹を意味するバンド名と重なり、〈終わらない未来を捧げよう〉という決意表明にも似た歌詞を含め、彼らの代表曲の一つとして浸透している。

さらにゴシック、エレポップ、インダストリアルの要素が絡み合う“fate”、ライブでのシンガロングで知られるクラシカルなバラードナンバー“あなた”など、今もなお強く支持されている楽曲も収録。hyde、tetsuya、kenのコンポーザーとしての個性が明確になったことも含め、キャリアの分岐点と呼ぶにふさわしいアルバムに仕上がっている。個人的なベストラックは1曲目の“LORELEY”。耽美な世界観と重厚なサウンド、中世ヨーロッパを想起させるリリックが一つになったこの曲は、この時期のL’Arc-en-Cielを象徴していると思う。

 

『ark』
by 和田信一郎(s.h.i.)

L'Arc-en-Ciel 『ark』 キューン(1999)

〈『HEART』以降に出したシングル8曲を1枚にまとめたら単なるベストアルバムになってしまう〉〈アルバムが2枚あればバランスよく振り分けられる〉というアイデアから『ray』と同時進行的に制作され、当時の世紀末感も意識した〈箱舟(ark)に乗って光(ray)のある方へ向かう〉というテーマのもとタイトルが決められた。

本作は、ラルクならではの〈マニアックとポップの混在〉を特によく示しているアルバムだ。ブリストルサウンドを意識した“Cradle”やアシッドテクノ的な“Larva”のようにビート志向が強い曲と、“forbidden lover”や“Butterfly’s Sleep”(後者はDEAD ENDの系譜を濃く想起させる)などのダーク&ゴシックな曲とが並ぶ構成は雑多にも思える。しかし、双方の要素を併せ持つ“真実と幻想と”がマッシヴ・アタック『Mezzanine』とSOFT BALLETの両方に通ずるなど、これらの音楽要素は実のところ相性がいいように思う。そこに“Driver’s High”や“DIVE TO BLUE”などのストレートな歌謡ロックが加わることで、アルバム全体に不思議なまとまりと批評性が生まれている。

圧倒的に強い歌メロと、ニューロマンティックとメタルの間に位置するようなコシのある柔らかさ(これこそがラルクの比類なき個性だと思う)もたまらない。聴くほどに味が増す逸品だ。