2026年、L’Arc-en-Cielが結成35周年を迎える。8月には初出演となる〈SUMMER SONIC 2026〉でヘッドライナーを務め、10月からは全国各地のアリーナを巡る〈35th L’Anniversary TOUR〉の開催も控えている。
Mikikiでは、そんなL’Arc-en-Cielの歴史を全12枚のオリジナルアルバムとともに振り返っていく。第1弾に続く第2弾では、5thアルバム『HEART』から8thアルバム『REAL』までのレビューをお届けする。 *Mikiki編集部
『HEART』
by 森 朋之
初めてオリコン1位となった前作『True』のリリース後、メンバーの脱退を受け、ドラムスにyukihiroが加入。大きな試練と変化の時期を経て、新たなL’Arc-en-Ciel像を提示した記念碑的なアルバムだ。正確無比なビートを叩くyukihioが加わったことでアンサンブル全体がタイトになったことが最大の変化。tetsuya、kenのプレイも多彩になり、さらにストリングスやホーン、打ち込みの音源を大胆に取り入れたことで、幅広い音像を体感できる。
収録されたシングル曲は“虹”“winter fall”。特に壮大かつロマンティックなバラードナンバー“虹”は、フランス語で虹を意味するバンド名と重なり、〈終わらない未来を捧げよう〉という決意表明にも似た歌詞を含め、彼らの代表曲の一つとして浸透している。
さらにゴシック、エレポップ、インダストリアルの要素が絡み合う“fate”、ライブでのシンガロングで知られるクラシカルなバラードナンバー“あなた”など、今もなお強く支持されている楽曲も収録。hyde、tetsuya、kenのコンポーザーとしての個性が明確になったことも含め、キャリアの分岐点と呼ぶにふさわしいアルバムに仕上がっている。個人的なベストラックは1曲目の“LORELEY”。耽美な世界観と重厚なサウンド、中世ヨーロッパを想起させるリリックが一つになったこの曲は、この時期のL’Arc-en-Cielを象徴していると思う。
『ark』
by 和田信一郎(s.h.i.)
〈『HEART』以降に出したシングル8曲を1枚にまとめたら単なるベストアルバムになってしまう〉〈アルバムが2枚あればバランスよく振り分けられる〉というアイデアから『ray』と同時進行的に制作され、当時の世紀末感も意識した〈箱舟(ark)に乗って光(ray)のある方へ向かう〉というテーマのもとタイトルが決められた。
本作は、ラルクならではの〈マニアックとポップの混在〉を特によく示しているアルバムだ。ブリストルサウンドを意識した“Cradle”やアシッドテクノ的な“Larva”のようにビート志向が強い曲と、“forbidden lover”や“Butterfly’s Sleep”(後者はDEAD ENDの系譜を濃く想起させる)などのダーク&ゴシックな曲とが並ぶ構成は雑多にも思える。しかし、双方の要素を併せ持つ“真実と幻想と”がマッシヴ・アタック『Mezzanine』とSOFT BALLETの両方に通ずるなど、これらの音楽要素は実のところ相性がいいように思う。そこに“Driver’s High”や“DIVE TO BLUE”などのストレートな歌謡ロックが加わることで、アルバム全体に不思議なまとまりと批評性が生まれている。
圧倒的に強い歌メロと、ニューロマンティックとメタルの間に位置するようなコシのある柔らかさ(これこそがラルクの比類なき個性だと思う)もたまらない。聴くほどに味が増す逸品だ。
『ray』
by 伏見 瞬
いきなりネガティブな話で恐縮だが、この時期のhydeはボーカリストとしての調子がそこまでよくなかったように思う。『Tierra』や『True』における艶やかなトーンや、最近のライブにおける年齢を感じさせない喉の強さと比較すると、どうにも声に力が乗っていないように感じてしまうのだ。ブレイク後の多忙や混乱が、精神を圧迫していたのかもしれない。彼固有の妖艶さは活きているし高音も出ているのだが、それでも少し気になって書いてしまった。
しかし同時に、精神的な混乱が優れた音響表現として結実しているのが、『ray』という作品である。ギターリフとフィードバックから始まる“死の灰”で退廃の中のギリギリの生を描き、速いテンポにダウナーな憂愁を乗せる“It’s the end”で軽蔑すべき他者に別れを告げる。グランジやギターポップを基調としながらも、そこにジャズやブレイクビーツのスタイルが捻じこまれ、悪意と哀しみが切迫し、4人全員が作曲しているが故のカオティックな力が溢れている。
特に意味不明なほど才気を発しているのはkenで、ポップとアバンギャルドの両立を高次元で達成してしまっている。“花葬”のイントロのジャズともゴスともボサノヴァとも言い切れないギターの暗く昏い渇きは、今に至るまで他に聴いたことがない。あんな幻想的で退廃的なレクイエムが100万枚以上(“花葬”のシングル売り上げが約104.9万枚、アルバムは200万枚以上)売れてたなんて、日本もどうかしていたと思う。世紀末の混沌に、ラルクも僕等も包まれていた。
『REAL』
by 西廣智一
yukihiro加入以降、シングルの連発およびアルバム『ark』『ray』の同時リリースなど精力的な制作が続く中、そのハードな流れに一旦の決着をつけたのが8thアルバム『REAL』だろう。バンドの快進撃の狼煙となった4thアルバムが『True』(真実)だったのに対し、そこから約4年を経てたどり着いた先が『REAL』(現実)なのも非常に興味深い。
アルバムにはメンバー4人が作曲を手がけたバラエティ豊かな楽曲群が並んでいるが、特にオープニングを飾る“get out from the shell -asian version-”のインダストリアルロック感、“THE NEPENTHES”からにじみ出るグランジ経由のヘヴィさには度肝を抜かれることだろう。その後もエレクトロポップ色が濃厚な“NEO UNIVERSE”、tetsuyaが作詞と作曲を担当したエモなパワーポップ“bravery”、ルーズでスモーキーさが印象的な“LOVE FLIES”と、メンバー4人のジャンルレスな音楽的挑戦が端的に表れている。
そして、“TIME SLIP”以降のラスト3曲で魅せるドラマチックな流れも特筆すべきポイントであり、派手さを抑えながら深化を極めるバンドのリアルな姿をたっぷり体感できる。しかし、リリース翌年の2001年以降はメンバーのソロ活動が活発化。次のアルバム到着まで約4年を要することになる。
2026年5月22日追記
記事の初出時、本文に一部誤りがございました。お詫びして訂正いたします。 *Mikiki編集部
誤:オリジナルメンバーの脱退を受け
正:メンバーの脱退を受け
RELEASE INFORMATION

リリース日:2026年7月16日(木)
■通常盤(Blu-ray)
価格:12,100円(税込)
内容:1Blu-ray、2CD(LIVE音源収録)、ブックレット12P
■通常盤(DVD)
価格:9,900円(税込)
内容:1DVD、2CD(LIVE音源収録)、ブックレット12P
■FC限定盤
価格:43,780円(税込)
内容:2Blu-ray、VRゴーグル、VR視聴カード、ブックレット32P、スペシャルパッケージ
収録公演:2024年4月7日 さいたまスーパーアリーナ
TRACKLIST
DISC 1(Blu-ray/DVD) ※3形態共通内容
1. THE BLACK ROSE
2. EXISTENCE
3. THE NEPENTHES
4. 砂時計
5. a silent letter
6. Ophelia
7. Taste of love
8. Voice
9. Vivid Colors
10. flower
11. It’s the end
12. Cureless
13. Blame
14. 叙情詩
15. GOOD LUCK MY WAY
16. Killing Me
17. NEXUS 4
18. Bye Bye
19. ミライ
20. Link
21. MY HEART DRAWS A DREAM
DISC 2(Blu-ray) ※FC限定盤のみ
特典映像&ドキュメンタリー映像
特典映像
4月6日 さいたまスーパーアリーナ公演より
“Another Prologue - All Dead -”“shade of season”“自由への招待”
ドキュメンタリー映像
2024年に開催したVRイベント〈L’Arc-en-Ciel “ARENA TOUR 2024 UNDERGROUND” ‐Welcome to Special Seat‐〉で上映したスペシャル映像と同一
■VR視聴カード ※FC限定盤のみ
3月7日 国立代々木競技場第一体育館公演より
“EXISTENCE”“flower”“叙情詩”“THE NEPENTHES”“MY HEART DRAWS A DREAM”
※他、未公開VR映像収録予定
※FC限定盤はOfficial Fan Club〈LE-CIEL〉およびDigital Fan Club〈LE-CIEL〉の会員を対象とした期間限定での販売となります(予約販売受付は2026年4月13日(月)より開始)
■通常盤(Blu-ray/DVD)予約購入特典
タワーレコ―ド:ポストカード4枚セット
※特典は満了次第終了となりますので予めご了承ください
※複数枚を1回でご注文された場合、商品がすべて揃うまでに特典の保管期間(発売日もしくはキャンペーン開始日より1ヶ月)を経過すると、自動的に特典付与対象外となります
※タワーレコード店舗とオンラインでは特典の運用状況が異なる場合がございます。店舗でのご購入で特典ご希望のお客様は、各店舗に運用状況をご確認ください
詳細ぺーじ:https://tower.jp/article/feature_item/2026/04/24/0712
EVENT INFORMATION
ARENA TOUR 2024 UNDERGROUND: Special Screening
開催日:2026年6月27日(土)
開場/上映開始:13:40/14:00
※開場時間は多少前後する可能性がございます
■劇場(18劇場)
ローソン・ユナイテッドシネマ札幌(北海道)
ユナイテッド・シネマ フォルテ宮城大河原(宮城)
ローソン・ユナイテッドシネマ前橋(群馬)
ユナイテッド・シネマ浦和(埼玉)
ユナイテッド・シネマ幕張(千葉)
ユナイテッド・シネマ豊洲(東京)
ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場(東京)
ユナイテッド・シネマ としまえん(東京)
ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい(神奈川)
シネプレックス平塚(神奈川)
ユナイテッド・シネマ新潟(新潟)
ユナイテッド・シネマ豊橋18(愛知)
ユナイテッド・シネマ岸和田(大阪)
ユナイテッド・シネマ橿原(奈良)
ユナイテッド・シネマ大津(滋賀)
ユナイテッド・シネマ福岡ももち(福岡)
ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13(福岡)
ローソン・ユナイテッドシネマ PARCO CITY 浦添(沖縄)
■チケット料金
3,500円(税込)
※各種サービスデイ、割引券、招待券適応不可
※3歳以上有料/3歳未満で座席をご使用の場合は有料
※プレイガイドでチケットをご購入の際は、チケット代以外に各種手数料がかかります
■入場者プレゼント
ピクチャーチケット風カード
※オリジナルグッズの販売も予定しております。チケット販売およびオリジナルグッズの詳細につきましては、後日ご案内いたします
LIVE INFORMATION
L’Arc-en-Ciel 35th L’Anniversary TOUR
2026年10月9日(金)東京・国立代々木競技場第一体育館
2026年10月11日(日)東京・国立代々木競技場第一体育館
2026年10月12日(月・祝)東京・国立代々木競技場第一体育館
2026年10月31日(土)福岡・マリンメッセ福岡 A館
2026年11月1日(日)福岡・マリンメッセ福岡 A館
2026年11月21日(土)愛知・IGアリーナ
2026年11月22日(日)愛知・IGアリーナ
2026年11月28日(土)神奈川・横浜アリーナ
2026年11月29日(日)神奈川・横浜アリーナ
2026年12月12日(土)千葉・LaLa arena TOKYO-BAY
2026年12月13日(日)千葉・LaLa arena TOKYO-BAY
2026年12月16日(水)大阪・大阪城ホール
2026年12月17日(木)大阪・大阪城ホール
2026年12月24日(木)東京・有明アリーナ
2026年12月26日(土)東京・有明アリーナ
2026年12月27日(日)東京・有明アリーナ
35th L’Anniversary特設サイト:https://le-ciel.com/L35
PROFILE: L’Arc-en-Ciel
メンバーはhyde(ボーカル)、ken(ギター)、tetsuya(ベース)、yukihiro(ドラムス)の4人。1991年、tetsuyaを中心に大阪で結成。1994年7月、ビデオシングル“眠りによせて”でメジャーデビュー。1996年に発表した4thアルバム『True』が初のミリオンセラーを記録し、以降も数々のヒット曲を世に送りだす。ドームやスタジアムを舞台に圧倒的なライブパフォーマンスを重ね、名実ともにモンスターバンドとして確固たる地位を築いてきた。
L’Arc-en-Ciel公式サイト:https://www.LArc-en-Ciel.com
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