
〈有機的な繋がり〉を体現した、るーとものカラフルさ
そうこうしているうちに11時。開演時間になるのと同時に、るーともの2人が元気よくステージに飛び出してきた。ハンドクラップをオーディエンスに促しながら、“Surrender”を歌いはじめる。ハモりユニットならではの力強く伸びやかな歌が重なり、美しく響き渡るのを聴いて、〈ロケーションに完璧にマッチしていてすごいな〉と早くも感動に襲われた。アイコンタクトをしながら歌い交わす2人は、サビでタオルを回しはじめ、観客もそれに同調する。
キーボーディストのたいせーを紹介しつつ、「トップバッターから見に来てくれてありがとー! 初めて見に来てくれた人?」と観客に問う。「芸人みたいでしょ?」と笑いながら、るーか&おかのやともかによるお決まりの自己紹介をしたのち、「もうちょっとだけ自己紹介していい?」と言いつつ、YouTubeやTikTokといったSNSが主戦場である現代的な活動の形を説明した。
“いいじゃん”ではコール&レスポンスをおこない、2人は演者と観客の間の壁を取っ払って、その場にいる全員を巻き込んでともに音楽を楽しむ。歌い終えたあとは、「午前3時は嵐のようだったけれど、うちらは晴れ女、晴れ男だから!」と微笑んだ。ここでフェスを主催するmovelの代表取締役・河合勇樹がるーかの高校時代の友人であることも紹介。有機的な繋がりによって〈SCRAMBLE FES〉が構成されていることが感じられた。

「みんなが知ってる、歌える曲を!」と言って始まったのは、絢香 × コブクロのヒットソング“WINDING ROAD”のカバー。たいせーも加わった3人のアカペラで、男声が高音部を担いつつ、美しいハーモニーを聴かせる。Mrs. GREEN APPLE“点描の唄”、Omoinotake“幾億光年”と近年のヒット曲も歌いこなし、観客も手拍子をしたり手を振ったりシンガロングしたりと、るーともの音楽と一体になっていった。2人の歌を耳にし、足を止めて聴き入るオーディエンスが増えていく。
「みなさん、食べるものは決めてるんですか?」「カレーを食べて、ビールを飲んだら優勝!」「お茶室が気になる」「うちらもめちゃくちゃ楽しむ!」とコミュニケーションを密に取りながら、あっというまに最後の曲へ。「ラララ」とシンガロングする部分を観客と一緒に練習してから、「みなさん、一緒に歌いましょう!」と“ハローグッバイ”を披露。るーとものカラフルなステージが終わった。
ステージから目を離し、周辺を見渡すと、〈まったりゾーン〉という木陰に座れる場所でくつろいでいる人がいたり、芝生にシートを敷いている人がいたり、持参の椅子でチェアリングしている人がいたり、いくつかある横倒しに置かれた太い木をベンチ代わりに腰かけている人がいたりと、過ごし方がそれぞれ自由なのがおもしろい。ノリ方が同じになりがちな現場とは、やはりちがう空気が広がっている。〈SCRAMBLE〉とは多様性なんだな、と感じ入った。

一期一会を大切に柔らかい歌を響かせた、かわにしなつき
続いてステージに現れたのは、かわにしなつき。マイク片手に走って壇上に立つと、正午の鐘が鳴るのを聞いて、「めっちゃチャイム鳴ってる!」と笑いながらスタートした。ラップにも近い軽快な譜割りの歌が印象的な“理想的ガール”を、まずは披露。トラックに合わせてピアノを弾きながら歌い、かわにしらしい柔らかい歌声がじんわりと広がっていく。オーディエンスも手拍子でパフォーマンスに応えた。
一転して穏やかなバラード“どんなに好きだったとしても”を歌い上げ、「フェス日和ですね。水分補給しながらワークショップをやったり、1日を過ごしていきましょう!」とMCで語る。「どこからいらっしゃったの?」と観客に聞くと、台湾から来た者がいることに驚くかわにし。そこから続けて、「偶然がたくさん重なり合って生まれる出会いや巡り合いを大切に」とバラード“0.0004%のキセキ”を静かに歌い出した。

「立ち止まったら、振り返ったらあかんのかな?」と迷いを露わにしながら歌った新曲“一番星”は、逡巡が前に進むことにも繋がることを表現した前向きな歌。ハンドクラップが再び巻き起こる。「つらいこと、楽しいこと……みんな、それぞれの日々のなかで〈いま〉を大切に」とメッセージを伝えながら披露した“晴れ、時々風まかせ”では、軽快なリズムが弾け、明るくラストを飾った。