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その場にいる全員を巻き込んだアフロの熱い全力ライブ

ハモりが強みなデュオ、シンガーソングライターと続いたが、3番手はラップだ。シンプルな白Tと黒いパンツのヒップホップスタイルで現れたアフロのスタート時間はちょうどお昼時で、ステージ前のオーディエンスは多くが座って飲み食いしている。

その様を見ながら、〈これはひょっとしてアウェイかも?〉なんて思ったのも束の間。「よろしくどうぞ~! 敬愛する芸人さんのために作った曲です!!」と、軽快な一声で“サンパチ”のパフォーマンスを開始。漫才師が対峙する、ソニー製のコンデンサーマイクC-38Bの愛称をタイトルに冠した曲だ。最小限のトラックが鳴るなか、アフロは熱を込め、早くもトップスピードで力を込めて言葉を連射していく。綴られるのは、お笑い芸人の生き様。オーディエンスの多くは、いつしか集中して彼の言葉に耳を傾けていた。アフロの歌に心を射貫かれたのだろう、ステージを見つめる観客数はかなり増えており、凛とした緊張感が浅間山の麓に広がった。

怒涛の発声で観客を圧倒し、「ハアハア」と息をつくアフロを目撃した〈ASAMA stage〉は、和やかな雰囲気が嘘だったかのように驚くほど静まりかえった。彼の初速から全力なパフォーマンスに、誰もが痺れたのだ。しかしアフロ自身は、「こんにちは~。アフロと申します。よろしくどうぞ~!」と明るく朗らかに挨拶。会場が地元(青木村)に近いことや、御代田は駅前の喫茶店で大きなパフェを野球部の仲間たちと食べに来る場所だった、というエピソードを語っていく。

「御代田でこんなことしてんだぜ、という気持ちで今日はやります。今年、俺は39歳。同年代に捧げます」。そう言って始まった“タメ”は、一転して同い年にまつわるエピソードをコミカルにラップした曲。“サンパチ”からの振れ幅の大きさが、またおもしろい。ビートに乗って、子どもも手を上げてパフォーマンスを見ている。

その後は、「実家は青木村っていうんですけど、周りを囲む山に〈お前はどこにも行けないんだ〉と言われているようだった」と10代の頃の閉塞感を明かし、「東京に片思いしている曲です」と天々高々の“びゅてぃほう”をスタートさせた。ピアノの音に導かれ、大都市・東京の様子とそこで生きる人々の姿を切実な声で描写するアフロ。ラストは小さな声で囁くような発声へと変わり、「2026年5月2日、〈SCRAMBLE FES〉、御代田町、あなたの日々、暮らし、すべてが……びゅうてぃほう……」と呟き、余韻をたっぷり残して終了。言葉で描かれた都市像と御代田の自然豊かな景色とのギャップがまた鮮烈で、〈すごいライブを見たな……〉という気分になった。

「次の曲は大きな声を出さないんで、仮眠でも取ってください。俺の独り言みたいな曲なんで」とステージ前方に足を下ろして腰かけ、歌いはじめたのは“ムーンリバー”。静かに、しかし真剣に言葉を発していくアフロ。歌い終えると、ライブ前にMOROHAのファンの子どもを持つ親に話しかけられたエピソードを披露した。しかし、ソロではMOROHAの曲を歌わないため、「新しい俺の歌で記憶の更新ができるといいな。次の曲、子どもでも歌えるサビがある曲だから」と言う。

「いま、恋をしてるよって、人います? 俺にだけわかるように小さく人差し指を振ってください。心を込めて捧げます!」と語って、ラストの“ロマンス”へ。アフロは歌いながらステージを降り、オーディエンスに囲まれるなか、「欲しいレコードがあるんだけども、買ってもいい?」と近くの観客にマイクを向けて話しかけたり、台の上に乗って歌ったり。サビでは「好きだ!」と声を張り上げ、オーディエンスも合わせて歌う。アフロの額の汗がキラキラと光っているのが見えた。熱気と親密さで、子どもから大人までその場にいた全員を巻き込んだアフロのライブが終わった。

 

まっすぐで深く刺さる歌を届けた砂月凜々香

次は、シンガーソングライターの砂月凜々香が〈ASAMA stage〉に登場。「楽しんでいきましょー!」と元気よくライブを始める。アコースティックギターを弾きながら1曲目に歌ったのは“サイダー”だ。軽快なモータウン系ビートが弾けるなか、砂月は「手拍子いけますか? そのまま続けて!」と煽り、観客も手拍子でノる。

「ありがとー! まだまだ楽しんでいけますかー? タオルを振って、立って聴いてもらえたら嬉しいです!」と明るく盛り上げていき、そのままロックナンバー“START DASH★”へ。目元のラインストーンが太陽の光を反射し、キラキラ輝いているのが見えた。ステージを大きく使って左右に移動しながら、かなり大きな声量で歌い上げる砂月。「いくよー! みんな真似して! うしろも!」と、サビではタオル回しを求めた。

MCでは「福岡県出身のシンガーソングライター、砂月凜々香です。初めて長野県で歌います。遠征自体もあんまりしたことがないんです。1曲でも足を止めて聴いてもらえたら嬉しいです。有名なものを食べて帰りたいな! お蕎麦がホテルの朝食で出たんですよ~」と語ったあと、バラードの“フタツナイアイ”をスタートさせて空気を変えた。曲の途中でビートがインし、壮大さが増していく。続く“シオン”も切ないバラードで、マイクスタンドに手を添え、切々と歌う砂月の美声が、御代田の木々の間と澄んだ空気に染み渡っていった。

最後は、9年間の歌手活動を振り返りながら、ワンマンライブツアーの開催を告知。「また次のライブでお会いしましょー!」と言い、アコギを手にアッパーな“いつか”で締め。観客もビートに手拍子で応えた。歌い終えると、「今日は本当にありがとうございました!」と明るく去っていく。まっすぐで深く刺さる声の持ち主だな、という感想が湧いてきた。