テナーサックスの真の巨人、ソニー・ロリンズが2026年5月25日、ニューヨーク州ウッドストックの自宅で亡くなった。95歳だった。現時点で死因は明らかにされていない。

1930年、ニューヨークのハーレムで生まれたロリンズは、10代からジャズに夢中になり、サックスを演奏し始めた。若い頃からその才能は際立っており、1950年代にはマイルス・デイヴィスやセロニアス・モンクら一流ミュージシャンと共演するようになる。当時のジャズ界で、ロリンズはすでに特別な存在だった。

1956年に発表したアルバム『Saxophone Colossus』は、ロリンズの代表作として名高い。〈サックス界の巨人〉というタイトル通り、彼の評価を決定づけた作品だ。収録曲“St. Thomas”は、カリブ音楽のリズムを取り入れた明るく親しみやすいナンバーで、ジャズのスタンダードとして親しまれ続けている。

同じく1956年には『Tenor Madness』でジョン・コルトレーンと共演。2人のトップテナー奏者による演奏は、ジャズ史に残る名セッションとして語り継がれている。

また、『Way Out West』(1957年)ではピアノを置かないトリオ編成にも挑戦。自由度の高い即興演奏で、後のジャズシーンにも大きな影響を与えた。そして『The Freedom Suite』(1958年)では人種問題や自由への思いを音楽に込め、社会的メッセージを打ち出した。さらに、名門ブルーノートには『Night At The Village Vanguard』(1957年)、『Newk’s Time』(1959)などの代表作を残している。

しかし人気絶頂にあった1959年、ロリンズは突然活動を休止する。演奏に満足できなくなり、自分の音楽を見つめ直したいと考えたからだ。その間、ロリンズはニューヨークのウィリアムズバーグ橋の上で毎日のように練習を重ねたという。この有名なエピソードから生まれた復帰作が、ジム・ホールらを従えた『The Bridge』(1962年)だ。以前よりも深みを増した音色に、多くのファンが驚かされた。

1966年には、マイケル・ケイン主演の映画「アルフィー」の音楽も手がけた。主題曲“Alfie”はその後スタンダードナンバー化。ロリンズのサックスは、映画の都会的で少し孤独な雰囲気を美しく表現している。

短期間の引退を繰り返しながらも復帰し、常にジャズの第一人者であり続け、多くの音楽家に影響を与えたロリンズ。その豪快で力強い一方、どこか温かさを感じさせる音色は、多くの聴衆を魅了した。グラミー賞を2度受賞し、2004年には生涯功労賞も贈られている。呼吸器系の疾患により演奏活動ができなくなり、2014年に引退していた。

晩年には〈最後のジャズジャイアント〉とも呼ばれたソニー・ロリンズ。あの大きな体を揺らしながら、楽しそうにサックスを吹く姿はもう見られない。しかし“St. Thomas”の軽やかなメロディーも、“Alfie”の哀愁溢れる響きも、これからもきっと世界のどこかで鳴り続けていくに違いない。