ななんと、ポール・ブレイ(p)のソロ!である。ベーゼンドルファーのインペリアルの低空に雲が立ち込めるような響きがECMらしくないが、この毒舌ピアニストのひりひりするようなソロが突如リリースされる。『オープン・トゥ・ラブ』はポール本人ですら超えることのできない名盤だったが、ECMの重鎮エンジニアを迎えオスロのジャズフェスで収録されたこのソロは、冒頭から名盤の風格が漂う。もはや中堅、トルド・グスタフセン(p)が8枚目となるカルテットのアルバムをリリースする。ヤン・ガルバレクを彷彿とさせるテナーの音色にぐぐっと来るが、キースさまの欧州カルテットに比べて展開が緩やかで落ち着いた雰囲気がいい。そしてこちらはポール・ブレイ同様大御所のアリルド・アンデルセン(b)のサックストリオの新譜だ。びっくりするほどオンマイクで吹くトミー・スミスのテナーにしびれる『アルフィー』、最高ですよ。ECMからロリンズのヴァンガードのライヴを思い出す蒸し暑いジャズアルバムの登場です。


【参考動画】TORD GUSTAVSEN QUARTETの2012年作『The Well』収録曲“The Well” ライヴ映像


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