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亀の上に乗った象、象の鼻にぶら下がったナマケモノ

――ギターのレコーディングで印象に残ってることはありますか?

森園「ヘッドホンでモニターしながらギターを弾いてて、いい音だなと思ったのを覚えている。ギターアンプはヤマハのYTA-100で、ヘッドはプリアンプでパワ―アンプはスピーカーボックスに入ってるやつ。その上にエコーチェンバーとそれ以前に使ってたヤマハのプリアンプも繋いでたから、プリアンプが3段繋がってたことになる(笑)。そのヤマハのアンプはオールトランジスタで全然歪まないんだけど、録音したのを聴いてみると、うまい具合にクランチ気味になってる。それは大伴さんの腕なんだろうなあ。

ライン録りはやってなくて、録音はスピーカーの前にセットしたマイク1本。エフェクターはファズ、ワウペダル、テープエコー。まあ、当時はそのくらいしかないしね」

――ギターが2本入るところもバッチリキマってますね

森園「“おまつり”の途中、やかましくなるところでのギター2本の掛け合いで、片方はツインリバーブを使ってる。

“空と雲”の2本目のギターは、じつは別テイクだったんだけど、結果2本とも残すことになった。元の録音テープを聴きながら弾いたから、全く違うフレーズじゃなくて2本のギターが絡まったようになってるでしょ。あれは計算して作ったんじゃなくて成り行きでそうなったんだよ」

――アルバムジャケットのアートワークはどなたが考えたのですか?

森園「コンセプトは僕なんだけど、あれはどう見てもナマケモノじゃなくて猿だよね(笑)。よく〈お猿さんのジャケット〉って言われるけど、ナマケモノはアリクイの仲間だからね。

ナマケモノは知能指数が高くて、人間の倍以上あるらしいよ。そのナマケモノと人間の間にいるのがイルカなのってどこかで聞いて」

――ちょっと凝った構図ですよね。

森園「ぱっと見ると木にぶら下がってるナマケモノに見えるけど、引いて見ると象の鼻にぶら下がっていて、もっと引いて見ると象は亀の上に乗っかってる。そんなインドの神話をどこからともなく聞いて知ってたんだ。

そういう思想は、当時のプログレっぽいよね。意識的にでっちあげたわけじゃないけど、結果としてよくでっち上がってるでしょ(笑)?」

 

メンバーチェンジとオカルトブームと“空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ”

――ここでメンバーに異動がありますね。

岡井「ベースの真ちゃん(中村真一)が家庭の事情で抜けることになって、佐久間(正英)くんにベースを頼んだんですよ。佐久間くんは真ちゃんのベースを自分とは別の好きなタイプのベースだと思っていたようです」

森園「茂木(由多加)くんを入れたのは、それは単純に彼の作った曲“カーニバルがやってくるぞ”を僕が好きで、だったら一緒にやっちゃおうかと思ってね」

岡井「茂木くんとは、四人囃子がカバーばっかりやってた頃、プロコル・ハルムの曲をやる時に、それならキーボードが2人必要だよね、という事になって一緒にやったのが最初。茂木くんと佐久間くんは一緒のバンドをやっていたし、親交も続いたので、真ちゃんが抜けることになって、佐久間くんにベースを頼んだんですよ」

森園「茂木くんは家が近所だったの。茂木くんと佐久間くんのバンド〈ミスタッチ〉とは友達だったしね」

――さて、そのメンバーでシングル“空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ”を録音しています。

四人囃子 『空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ<初回生産限定盤/タワーレコード限定盤>』 ビクター(2026)

岡井「これはレコード会社を移籍するにあたって、シングルを1枚出すことで許諾してもらうという、バーターとしての話しだったんです。契約期間を途中で打ち切って移籍させてもらうには、それ相当なかたちが必要だったのだと思います。そこで、かねてよりセカンドアルバムの1曲目に入れる予定だった“空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ”をシングル盤としてリリースすることになりました。

バンドとしてはこのタイミングでそうするのは複雑な気持ちになりましたけど、でもこれによってこのサイズの“空飛ぶ円盤~”が生まれて、今日のこの話があるわけですもんね」

森園「アルバム『一触即発』を録音する以前からあったレパートリーの中の1曲で、どういう詞が面白いかな?って末松さんと話していた時、当時ちょうどブームになっていた円盤、ネッシー、ノストラダムス、そういうのでやろうかということになった。僕が末松さんに〈空が破れたらどうなりますかね?〉なんて質問したり、そういった2人の会話の中からだんだん歌詞ができていったように覚えている。

末松さんと中野坂上の坂を車で走っていた時に信号待ちしてたら、オレンジ色の光が飛んでいったように見えたんだよ。その時は2人で〈今の見たよな? あれ円盤だよな?〉なんて盛り上がって、じゃあ円盤の曲を作ろうということになった」

――曲を作るときは、詞が先だったんですか?

森園「詞が先。その詞に手持ちのリフやコード進行を使ってメロディをつけていく。その後、バンドのリハーサルの時、ぶっつけで歌ってみるとか、大体いつもそんな感じだった。実際には、歌詞も歌いやすいように変えちゃったりしてますけどね。だから、事前に家でメロディや構成をしっかり決めてリハに臨んだような曲は1曲もないんですよ」