シティポップ・ブームの次はジャパニーズ・フュージョン!
シティポップ・ブームの次はジャパニーズ・フュージョン。かつてないほど、海外の音楽ファンが70年代~80年代に生まれた日本の音楽を求めている様相の中、画期的ともいえるJ-フュージョンのコンピレーションが誕生した。しかも大手レコード会社5社による共同企画で、各社の音源を網羅した5種類のCDが同時発売。その名も『CROSSOVER CITY』。





企画・選曲・解説は『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!』の著者である音楽ライターの栗本斉氏。選曲された楽曲はリアルタイム世代がお馴染みのナンバーから、廃盤や未配信ながらも今だからこそ新鮮に響くレア・ナンバーがズラリと並び、かつて一大ブームとして隆盛を極めたJ-フュージョンの神髄を存分に楽しめる。ジャケットは80年代のカルチャーを彷彿とさせるデザイン・ワークで知られるステレオテニスによるもの。
その5種類のコンピの内容だが、それぞれのメーカーによって副題が付けられ、まずソニー編は『CROSSOVER CITY -Asayake-』で、カシオペアの代表曲“Asayake”が収録されていることがわかり、THE SQUARE、菊池ひみこ、堀井勝美などの王道の楽曲が並ぶ。キング編は『-Bon Voyage-』、同社のエレクトリックバードというフュージョン系レーベルでの本多俊之、森園勝敏、増尾好秋らの名トラックに加えて珍しいHANG RAIJIの音源を収録。ユニバーサル編は『-Mint Breeze-』、小林泉美、高中正義、今田勝から野口五郎までインパクトのある選曲が光る。ビクター編は『-Misty Morning-』、日野皓正、渡辺貞夫、そして大野雄二のYou & Explosion Band、知る人ぞ知るKANGAROOまで良質なJ-フュージョン楽曲で魅せる。コロムビア編は『-Park Avenue-』、渡辺香津美、上田力とパワー・ステーションから朝本千可までこれぞ邦人フュージョンといった聴きごたえあるナンバーが揃う。
この5枚のCDは各社それぞれのアーティストによるカラーを特色としながら、どこから聴いてもその素晴らしさが伝わるようになっており、これらの音楽が生まれた時代にあったような、どこかハッピーなフィーリングに満ちている。そんな気分に浸りながら、コレが最高!という曲に出会えるアナタは、いつの間にか、誰よりもJ-フュージョンの虜になっているでしょう。