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シリアスにならないように

 音が変われば言葉も大きく変わる。確かに今作でアフロが書くリリックには、MOROHAでは見せていなかった彼が投影されているように思う。そんな〈素直な言葉〉が形になったひとつの例が、アルバムの10曲目に収められた“POETRY DREAM”だ。この曲は2011年に逝去したポエトリー・ラッパーの不可思議/Wonderboyに向けて書かれたもの。アフロと彼はお互いに切磋琢磨し合うライバルであり友人だった。彼がこの世を去ってから15年が経ったいまになって、この曲を書いた理由はなんなのだろう。

 「衝動で書きたくなかったんです。あと、その頃は自分も世に出るのに必死だった手前、もしリリースしたら〈死を利用した〉みたいな気持ちも残る気がして。また、彼の存在を知らない人からしたら、意味が掴めない曲は作りたくなかった。MOROHAは厳しいバンドだったので。ただソロになって、そういうこだわりから解放された気がします」。

 でも……と彼は言葉を続けた。「俺はこれが天国に届くとは思ってないです。音楽はやっぱり残された人のためにあるから。だからこれを聴いたときに、いちばん近かった人たち、それこそ彼のご家族の方とかが嫌な思いをしなきゃいいなと思って、久しぶりに連絡したりとかはしました」。

 15年前に喪った友のことも、ある意味で重くなく曲にできるようになった――そんな心境の変化が、もしかしたらソロになったアフロという人を象徴しているのかもしれない。「つまりね、バック・イン・ザ・デイを始めちゃったんですよ。〈あの頃〉の曲なんて作ってたまるかって思ってたけど、いよいよそういうふうになってきました。いいのか悪いのかわかんないです、これは」と彼は笑うが、それも含めて、MOROHAではやらなかったこと、やれなかったことも曲にすることができているのがいまのアフロなのだ。アルバムのラスト、〈強い⼈ってのは強くなった⼈だ/強くならざるを得ない⽇々を⽣きてきた⼈だ〉というラインが突き刺さる“じんせい”も、そんなアフロの生き方を明るく照らし出す曲。説教臭くならないように曲名をひらがなにしたというこの曲で、彼はMOROHAの曲名であり、自身の代名詞でもある〈俺のがヤバイ〉というフレーズを引用しながら〈かつてとは違う 新たな思い/俺だけじゃない お前もヤバイ〉と綴る。そんなことができたのも、彼を貫いていた頑なさがいい意味でほぐれた結果なのかもしれない。現在アフロはどんなスタンスで音楽と向き合っているのか。そんな質問に彼はこう返した。

 「やりたくて一生懸命やってる状態がベスト。そのうえで責任感とどうやって距離を取るかなんです。一生懸命の楽しさよりも責任感が勝っちゃったときに、たぶん一気につまんなくなっちゃう。だからずっと無責任にしようと思ってるし、言葉もあんまり重くしたくない。あまりにもシリアスにならないようにしてるのが、いまの俺のバランスの取り方かもしれないです」 *小川智宏

天々高々の2026年作『祝祭日』(ポニーキャニオン)

MOROHAの作品。
左から、2010年作『MOROHA』、2013年作『MOROHA II』(共にROSE)、2016年作『MOROHA III』(YAVAY YAYVA)、2019年作『MOROHA IV』、2023年作『MOROHA V』(共にユニバーサル)