前作『Classical Curves』がリリースされた2012年――〈ポスト・ダブステップ〉をキーワードに新興ジャンルが拮抗するロンドンの地下シーンにあって、無機質なキックを無表情で打ち鳴らしながら現れたジャム・シティのデビューは衝撃的であったが、3年ぶりとなる本作ではキックの強度を保ちつつも新たに自身の歌をフィーチャー。物憂げに歌い上げるメランコリックなインディーR&B“Unhappy”、不穏なビートが蠢く合間をヴォーカルが彷徨う“Crisis”、ファンクネス滲み出る“Proud”など、盟友カインドネスFKAツイッグスらと共振しつつ、一聴して穏やかなサウンドのなかには才気が迸っている。〈イマ〉を切り取る才に長けた彼ならではの進化を遂げたポップ・アルバム。