前作から新作までの間にジャム・シティが関わった作品のうち、もっとも重要なものといえばケレラの処女作『Cut 4 Me』ということになるだろう。ナイト・スラッグスの姉妹レーベル=フェイド・トゥ・マインドから登場したこの配信作は、ジャム・シティが2曲をプロデュースしたほか、レーベルの首領キングダム、ボク・ボクやガール・ユニット、さらにイングズングスらシーンの顔役たちが大挙参加。PitchforkやBBCの〈Sound Of ~〉に忠実なタイプのリスナーたちはもちろん、近いタイミングで台頭したFKAツイッグスあたりとの同時代性もあって、それ以上に大きな広がりを見せる話題作となったものだった。
ティーンガール・ファンタジーやキングダムとコラボしていた初期の活躍が見過ごされてきたのは仕方ないとして、ともかくここ2年ほどのケレラは、ボク・ボクの“Melba's Call”やカインドネスの“World Restart”、イングズングスが所属するフューチャー・ブラウンの“Dangerzone”、オベイ・シティの“Airy”など客演曲も増加。そんな良きタイミングで〈Deluxe Edition〉としてフィジカル化される『Cut 4 Me』は、ジャム・シティも参加のリミックスCDが付いた2枚組だ。この好機にぜひ彼女の世界にも触れてほしい。