セイント・ヴィンセントとのコラボ盤から6年、そしてソロ名義のアルバムとしては14年ぶりとなる本作は、盟友ブライアン・イーノが楽曲制作からレコーディングまで深く関わり、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーやジャム・シティ、トーマス・バートレット、ジャック・ペニャーテらもサポート。〈米国の理想郷〉というタイトルは皮肉じゃなく、〈いま暮らしているこの世界に我々は満足していない、では別の道があるんじゃないだろうか?〉という問いかけが込められている。そんなわけで、複雑な世界の実状を描くにあたり、ユニークでエキセントリックな仕掛けを随所に施している点が彼らしいところ。不気味なノイズやダークで重厚感のあるビートを採用しつつも、主役の歌を含めて全体的には開かれた感じのポップな仕上がりだ。中期のトーキング・ヘッズを彷彿とさせるポスト・パンク/ファンク的なナンバーまであって、かなり刺激的な内容です!