パーマネント・ヴァケーションから出したビッグ・チューン“Coma Cat”(2010年)で知られるハンブルクのハウスDJが、10年近いキャリアにおいて初のアルバムを完成。プリンス“Little Red Corvette”を思わせる美麗な密室系ダウンテンポ“58 BPM”が先行カットに選ばれたものの、ずっとディスコを標榜してきた人にはやはり腕の鳴る時節でもあるはずで、アルバムは振り幅を用意しながらも予想以上に直球を投げてきた感じだ。その“58 BPM”にアダルトな美声を挿入するフィオラが大半のヴォーカルを担当。ナイル・ロジャース参加の2曲も目玉になるだろうが、ブラコンな輪郭のエモーショナルな“Selfish”やジェイミー・リデルがプリンスばりに振る舞うジャック・ル・コント共作の“Feel Of Love”がハイライトだ。