TYONDAI BRAXTON HIVE1 Nonesuch/BEAT(2015)

 ご存知バトルスの元メンバーであり、ここ数年は現代音楽家として名を轟かせているタイヨンダイ・ブラクストン。およそ6年ぶりとなる彼のソロ・アルバム『Hive1』は、もともとNYのグッゲンハイム美術館で披露されたライヴ・パフォーマンス用のマルチ・メディア作品『Hive』を下敷きにしたもので、色彩感覚豊かなオーケストレーションを立たせた2009年作『Central Market』とはまったく雰囲気の異なる内容だ。呪術的なパーカッション、体温を感じさせないマシナリーなエレクトロニクス、時に不協和音も混ざるインダストリアル・ノイズを軸に、実験性の高いサウンドを展開している。徹底してミニマルな構成ながらも、その鋭利な音の粒は鳥肌が立つほどにスリリング。前作リリース後、フィリップ・グラスワードレス・ミュージック・オーケストラらとのコラボを果たし、古巣のワープを離れてノンサッチに移籍するなど、次々とみずからのイメージを塗り替えていくタイヨンダイの新たな一手を、あなたはどう受け止める?