昨年ウワサに上るも、いつの間にか立ち消えになっていたファースト・フル・アルバムがついに陽の目を見た。今回は世間がスクリレックスに対して抱くブロステップやEDMのイメージを覆すように、ダンス・トラックやパーティー・ヴァイブで埋め尽くすことはせず、多彩なアイデアの採用と数多いゲストとのコラボで緩急とストーリー性を生み出した、〈アルバムらしいアルバム〉が楽しめる。ラガ・ツインズ、アルヴィン・リスクらが登場する序盤こそバンギンだが、チャンス・ザ・ラッパーのヨレたラップを乗せたソウルフルなドラムンベース“Coast Is Clear”以降は、コミカルなビート・チューン“Doompy Poomp”やUKGの意匠も汲む“Fuck That”などを披露。新しい要素にも果敢にアプローチした力作だ。