Photo by Takuo Sato

 

「俺たちはちゃんと居場所を見つけている」

 チカーノのロック・バンドであるロス・ロボスと先鋭ヒップポップ・チームのジュラシック5。普通だったら、その2組は別の場所に位置するだろう。だが、彼らを“LAの重要な音楽のヴァリエーション”として無理なく繫ぎ、そのメンバーを初期作に関与させてしまっていたのが、同地の誇る混沌バンドのオゾマトリだ。様々な属性を持つメンバーを抱えた彼らは、世界有数のライヴ・バンドとしての定評も長年保持。そんな彼ら、今年は結成20年となるという。

 「楽しいと時が流れるのが、早いよねえ。俺たちは楽しんでやってきたと、間違いなく言える。そして、ちゃんと今も活動できている事には誇りを持っている」(サックスやキーボードの、ウリセス・ペーニャ

 「始めた時は皆20代だったし、こんなに長く続けようなんて考えもしなかった。バンドの人数は変わってきたけど、精神はまったく変わっていないし、俺たちはプロになったと思う。バンドの中で、人としても皆成長してきた」(ドラムのジロー・ヤマグチ

OZOMATLI Place In The Sun Welk/HOSTESS(2014)

 かつては10人以上メンバーがいることもあったが、現在は6人。新作『プレイス・イン・ザ・サン』もその面々によって録音されているが、驚かされるのはその6人は当初から在籍していることだ。

 「オリジナル・メンバーでやっているからこそ、精神が変わらないでいられるのだと思う。今もメンバーは良く会って、皆でアイデアを出し合っている」(ジロー)

 音楽ミクスチャーの多様性や扇情性の提示だけに留まらない、聴き手に大きく両手を広げるような包容力の増大。それこそは新作に表われる、彼らの成長だ。

 「そういう意見はうれしいねえ。やっぱり楽曲って、その時のバンドの状態が反映されると思うから。本当に今、バンドの状態がいいからね」(ウリセス)

 作曲者のクレジットを見ると、全員の名前がなされている。それは初期から続けられていることであり、彼らのリベラルな姿勢の一端だ。

 「だからこそ、バンドが長続きしているという部分はある。エゴとお金の問題で、バンドは駄目になるからね。皆が潤わず、収入がバラバラになると、やはりバンドはうまく行かなくなる」(ウリセス)

 ナイーヴなほどの平等/理想主義だが、彼らはそれのみで真っすぐに突き進み、グラミー賞も受けるなど成功も得てきた。聞けば、今作タイトルには「俺たちは、ちゃんと居場所を見つけている」という意思をこめているという。

 「とともに、皆好きなことを見つけ、自分の居場所を得ようよという、メッセージでもある」(ジロー)

 

Ulises Bella/Photo by Takuo Sato
 
Jiro Yamaguchi/Photo by Takuo Sato