「孤高のポエトリーラッパー」と呼ばれた青年がいた。若くしてこの世を去った後も、彼に影響され、作品に触発され、数々のアーティスト達がポエトリーラップの世界を広げていった。不可思議/wonderboyというアーティストの「姿」と「表現」を、縁有る人々のインタビューで浮き彫りにしていくドキュメンタリー映画。谷川俊太郎が述べる「Living Behavior」という概念と、不可思議が残した作品とが重ね合わさり、「生きる」ことを見つめ続けたこの作品は、もはや記録映像の域に収まらない。エンドロールで不可思議の代表曲《Pellicule》が流れた時に沸き起こった感動は、確かに「生」を強烈に求めていた。