冬が告げるそれぞれの新たな旅立ち――数多くの個性を輩出してきた人気レーベルのLOW HIGH WHO?が、昨年末に解体と再構築を宣言した。その新展開を待ちつつ、首謀者Paranelの審美眼によって送り出された最高にユニークな作品たちを、この機会に改めて振り返っておこう!

 


 

 2014年11月15日、2.5Dで行われたJinmenusagiDubbyMapleのダブル・リリース・パーティーにおいて、Jinmenusagiとdaokoの脱退、そして2014年内をもっての〈解体〉を発表したプロダクション、LOW HIGH WHO?。新年度からは再構築した状態で活動を再開することも同時にアナウンスされたが、ある種の一区切りがここでついたのは確かだろう。奇しくもレーベルを代表するアーティストのひとり、不可思議/wonderboyを題材に関和亮が初監督を務めるドキュメンタリー映画「Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録」の公開も2月に控えており、そういう点から一つの節目が訪れた感を強くする人もいるのではないだろうか。

【参考動画】映画「Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録」予告編

 

 もともとLOW HIGH WHO?(LHW?)は、2005年にNEL HATE名義で『動物達の演奏会』を発表していたParanelが、翌2006年に設立したプロダクションだ。静岡出身のParanelは音楽での表現以外にも画家や映像作家など多様な顔を持つアーティストで、アートワークやMV制作も含めてトータルな作品をクリエイト。そんな主宰者の審美眼がそのままブランドのカラーを作り上げるに至っている。同時に、彼らは早くからインターネットとの親和性が高かったことでも知られ、そもそもNEL HATEの作品に登場していたEeMuは北海道、さらにYAMANEは大阪を(当時)拠点としていたのがオンラインで繋がったわけで、ネット仲間という縁から生まれたクルーというのも結果的には時代に先駆けていた部分かもしれない。

【参考動画】2011年のコンピ『D.I.Y. -HARVEST AND AUTUMN-』収録曲
YAMANE × Paranel × EeMuの“陽と背中”

 

 もっとも、この時点のLWH?はまだレーベルとして積極展開していたわけではなく、ParanelはDJきなこもちアイスアフロディーテファンクラブ)とネット・レーベルのCtrl Alt Delを共催、フリーも含む配信リリースや一部フィジカル化による一般リリースも行っていた。この頃に残された作品としては、vongaku(ParanelとGeskia!choriのユニット)の『球体に言葉を綴るカラス』(2008年)やParanel名義での初作『蛇の翼とピストル』(2009年)、YAMANEの『アオソラ』(2010年)がよく知られている。

【参考動画】vongakuの2008年作『球体に言葉を綴るカラス』収録曲“数百億光年向こうの星”

 

 そして、転機は2011年に訪れた。LWH?と縁深い術ノ穴からParanelがCOASARU名義で『別人格コアサル』を発表するのに前後して、ポエトリー・シーンで注目を集めていた不可思議/wonderboyのアルバム『ラブリー・ラビリンス』をリリースしたのだ。〈LHWCD-0001〉という品番が記された同作を皮切りに、その不可思議/wonderboyの急逝やYAMANEの引退といった別れも経験しながら、(配信やCD-Rのリリースも並行しつつ)全国流通のタイトルは精力的にカタログを厚くしてきた。Jinmenusagiやdaoko、GOMESSをはじめとする個性的な看板アーティストをフックアップし、アートとヒップホップを根底にDIY精神で磨き上げられてきたレーベル・カラーが、いわゆる〈日本語ラップ〉界隈とは異なる領域でも信頼を集めてきたのは言うまでもないだろう。

VARIOUS ARTISTS D.I.Y. -Memories and Winter- LOW HIGH WHO?(2014)

 そんななかでの〈解体〉は大きな変化を生むだろうが、再構築後のLWH?についてParanelは〈映像、出版を交えた総合芸術プロダクション〉と説明しており、音楽に止まらない動きへと徐々に移行していくようだ。なお、再構築前のLWH?から最後に登場するのは、看板的なコンピの最新弾『D.I.Y. -Memories and Winter-』。これまでに〈AUTUMN〉〈SUMMER〉の出ている同シリーズだけに、まずは新しい何かが芽吹く春の訪れをゆっくり待つのがいいのかもしれない。

 

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