劇場公開に前後して多くのアーティストや著名人が話題にしていたドキュメンタリー作品「Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録」がこのたびDVDリリースされた。これは2011年6月に24歳でこの世を去ったポエトリーラッパー・不可思議/wonderboyの人生を、PerfumeなどのMVで知られる映像作家の関和亮が作品として仕上げた初の監督作だ。

関和亮 Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録 ポニーキャニオン(2015)

 LOW HIGH WHO?を主宰するParanelや詩人の谷川俊太郎Yuji Otani観音クリエイションといったトラックメイカーら生前交流のあった人たちの証言を中心に、数少ない不可思議自身のパフォーマンス映像も交えながら、画面の向こうに彼の足跡が描き出される。アーティストとして残した言葉の強さゆえか、青臭くすらある立ち居振る舞いの微笑ましさゆえか、あるいは証言者たちの語り口の親密さゆえか、それらが絡み合うことで浮かび上がってくるのは故人の濃密にして立体的な〈生〉の在り方だ。エンドロールで使用される神門ヴァージョンの“Pellicule”が恐ろしく胸に迫る。御託はさておき、これは観てもらうしかない。