ストイシズムに貫かれたにせんねんもんだいのこれまで

【参考動画】にせんねんもんだいの2004年のライヴ映像

 

 パンクやサイケ、ノイズ・ミュージックをはじめ、東京の地下シーンを支える老舗ライヴハウス、高円寺UFO CLUBで開催していた自主企画の名を表題とする『それで想像するネジ』(2004年)、『とり』(2005年)という2枚の自主制作盤を経て、自身のレーベルである美人レコードを立ち上げたにせんねんもんだい。その第1弾リリースとなったファースト・アルバム『ろくおん』は、いまと変わらない無表情な反復ぶりを見せながらも、スカム~ジャンクな匂いがより濃厚なオルタナ盤に。その2年後には2作目『デスティネーション・トーキョー』が登場。アヴァンなチェロの響きで幕を開ける本作では、バンド演奏の“ミラーボール”をエフェクティヴな3人の声のみで表現した“みらーぼーる”などの遊び心を覗かせつつ、端正な混沌をさらに突き詰めていく。そして、バンド結成10周年を迎えた2009年にはワンコードの1曲で約35分間を通す『FAN』を発表。ある種、もっとも極端なスタイルでミニマリズムの探究を推し進めると、同年にはレーベル・コンピ『美人レコードコンピレーション#1』も上梓。麓健一oono yuukimmmなどのラインナップからは、〈その筋〉以外に対する彼女たちの審美眼も窺える。

【参考動画】麓健一の2012年のライヴ映像“葬列”

 

 その後は2013年に『N』、2015年にその対となる『N'』を送り出していくが、合間には坂本慎太郎のzeloneより12インチEP『NISENNENMONDAI』も上梓しており、ここで石原洋にプロデュースを委ねたことが、後の外部クリエイターとのタッグに繋がるステップとなった模様。その〈3人の音の個性を最大限に活かす〉ことを目的とするストイシズムは、図らずもインダストリアル~音響テクノなどの時流と接近しながら、我が道を歩み続けている。 

【参考動画】にせんねんもんだいの2015年〈Boiler Room〉でのライヴ映像