ここ数作は人力ミニマルの獣道を黙々と突き進んでいる女傑トリオが前作から半年で完成させた新アルバムは、プロデューサーにエイドリアン・シャーウッド、マスタリング・エンジニアにラシャド・ベッカーというエキサイト極まりないドリーム・タッグ。聴感としてはノイジーなドローンインダストリアル・テクノ作品と言えようが、延々と反復される冷酷無比なアンサンブルは、その断片を攻撃的に伸縮させたダブ・ミックスと神出鬼没の音の配置/コラージュによって、意志を持った暗黒に変容。ほとんどが長尺の全5曲、聴き進むにつれて速度を上げるビートが叫び出したいような不安感を煽り、不整脈を打つ動悸と痙攣ダンスが止まらなくなる。彼女たちが孕む偏執的な狂気をブーストさせた大傑作だ。