白い仮面と黒いトレンチコートで身を包んだ謎のエンタメ集団が登場! バラバラの個性を合体させたド派手なミクスチャー・ロックを浴びて、心も身体もブチ上がれ!!

 素顔を隠す白い仮面と黒のトレンチコートに身を包み、メンバーの名前も経歴も一切不明。にもかかわらず、約2年前にシーンに姿を現すやいなや、the HIATUSBRAHMANDragon Ashなど大物たちとの共演を重ね、初見のオーディエンスを熱狂の渦に叩き込んできた謎のバンド。計算ずくの確信犯か、はたまた冗談から駒のパフォーマンス集団か? 思い切り好奇心を膨らませて聴いてほしい。紹介しよう、Xmas Eileen!

 「これまでの活動を清算して次に行こうと思った時に、元〇〇とか言われるのが嫌だったんで、〈このやり方しかない〉と思ったんですよ。そしたら、最初のMVを作ったあと、ずっと仲良くしてる友達と一緒に飲んでたときに〈Xmas Eileenって知ってる? めちゃめちゃ格好良いから〉って言われて、〈(それは)オレオレ〉って(笑)。全然わかんなかったらしい。してやったりです」(ヴォーカル右)。

 それぞれに10年以上の交友関係がある、ラップ・グループとロック・バンドをやっていたメンバーが合流し、〈これが最後のつもりで〉立ち上げたバンドが、Xmas Eileenの始まりだった。頼りにしていたのは、人間的な信頼関係のみ。音楽的な方向性に関しては、まったくの白紙からスタートしたという。

 「〈こんなバンドにしよう〉という話もなくて、自然にやっていったらいまの形になったんで。それがおもしろいと言われ出したんで、〈じゃあ俺たちは、この方向性なのか?〉という感じ(笑)」(ヴォーカル右)。

 ちなみに、全員の音楽的ルーツは見事なほどにバラバラ。ヴォーカル右はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが好き、と言う一方で秦基博Mr.Childrenへの愛を語り、ギターはジミヘンから始まってハードコアデス・メタルなど、〈格好良いギター〉なら何でも聴く派。もう一人のヴォーカルは海外のヒップホップ、DJはBRAHMANらの日本のロック、パフォーマーはCOMPLEXTRFといった90年代のJ-Popを好み、ドラマーはDEENが大好きらしい。そんなメンバーが集まって、いったいどんな音が出るのか?

 「とはいえ、へヴィー・ロックはみんな一度は通ってるんで。ガキの時にそのシーンで知り合ったから、そこが基盤で、それぞれのやりたいことをやってる感じかな」(ヴォーカル右)。

 「メンバーが多いんで、曲作りは足し算になるんですけど、最後に思いっきり引き算をする。そこは彼(ヴォーカル右)に任せてるんですけど、だいたい自分のお気に入りのフレーズが一個は残るんで、それがあればいいかなって(笑)。こだわりがないから、楽しいですよ」(ギター)。

Xmas Eileen WORLD COUNTDOWN PRIVATE SMILE(2016)

 新作『WORLD COUNTDOWN』は、そんなメンバーだからこそ生み出せるミクスチャー・ロックの博覧会だ。ハードコア、ヒップホップ、レゲエ、EDMなどを縦横無尽に取り込んだ、気持ちも身体もアゲまくる音。それでいて、メロディーと歌は時に〈J-Pop〉と言っていいほどにキャッチーで叙情的。前作にはなかった壮大なロック・バラード“Darling”を含め、バンドのポテンシャルの高さを見せつける全5曲だ。

 「十何曲全部へヴィーとか、僕は無理。そのなかに“Darling”みたいな曲を忍ばせていけば、幅広いバンドになるんじゃないか?と」(ヴォーカル右)。

 「これまで聴いてきた音楽をどこまで出し切れるのか、常に挑戦できるバンドなんで。その時に全力でできることをぶつけるしかないし、これからもずっとそうだと思います」(ギター)。

 活躍の場が急速に広がるなか、4月に来日するケミスツのオープニング・アクトを務めることも決まった。ロック・キッズはもちろん、ライヴでは小さな子供も喜んで踊るという、ジャンルを定めない全方位型バンド。これからめざす場所は明確だ。

 「例えばミスチルとか、三代目J SOUL BROTHERSとか、ああいう人たちと勝負できる場所に行きたい。ロック・シーンのなかで、ロックが好きな人だけが知ってるという立ち位置には、全然興味がない。見た目も音も含めてここまで振り切ったんだから、とことんやらないと。その気持ちこそがロックかなと、自分では思ってます」(ヴォーカル右)。