連載

【starRoのLos Angeles云々】Vol.8 カギは韓国系の躍進! 変わりつつあるアメリカにおけるアジア人の存在

Page 2 / 2 1ページ目から読む

アメリカで日本人がサヴァイヴしていくには?

ということで、えらいコリアン推しになっていますが、それぐらいコリアンの勢いは本当にすごいし、とにかくコミュニティーの規模と力強さが半端ないんです。そしてそもそも韓国本国で流行っている音楽コンテンツ自体がアメリカンテイストなのと、アメリカでも通用する実力が揃っているので、この躍進は本物な感じがすごくします。

韓国の大御所ヒップホップ・ユニット、DYNAMIC DUOのLA公演。ラッパーのワンマン・ライヴでLAのこれくらいの規模の会場で、韓国系だけで超満員になっちゃうって……残念ながら日本人にはあり得ないですね……
 

あれ、この話、日本人と関係ないじゃねーかって話ですよね? 大丈夫です、〈コリアンに比べてジャパニーズときたら〉みたいなクダを巻くためにこれを書いてるわけじゃないですから(笑)。

えっとですね、まず現実的なことを言うと、韓国系のように日系コミュニティーだけでシーンを盛り上げてアーティストを育てるというのは、たぶんもう難しいと思います。さっき言ったように、日系アメリカ人はもう5~6世代に渡っているため日本人意識みたいなものはまったくないし、〈リトル・トーキョー〉なんて名ばかりで、日系人が住んでいるわけではなく、みんなバラバラに散っていますから。逆に、新しい日本人移住者はまあほぼいないに等しい。で、アメリカの大都市だと、それでも日本国籍の人はそこそこの人数は住んでいますが、学生さんか駐在員なんで、こっちで日系アーティストを育てようなんていう意識はもちろんありません。なので日本人だけの自給自足状態は残念ながらないんですよねー。

でも! 韓国系コミュニティーが作り上げてくれた音楽マーケットにおけるアジア系の存在感は、われわれ日系人も十分に恩恵を受けています。そもそも韓国系2世、3世などの若い世代は韓国系としての誇りはありつつも他のアジア系を別扱いしてるわけではなく、オール・アジア系でがんばっていこうぜ!という意識があります 。

いまインフラが万全なのは韓国系なので、リードしていくのは当然韓国系が中心なんですけど、オール・アジアンで日系もどんどん一緒に盛り上げていけばいいんです。いま一番わかりやすい例だとKOHH氏とか。アメリカ進出のきっかけはKEITH APEですけど、彼の世界的な大ヒット曲“It G Ma”に客演したことで、日本人のKOHH氏にも注目が集まっています。そういうパターンがこれからどんどん増えてくればいいのかと。

KOHHの2016年作『DIRT II』収録曲“Business and Art”
 

僕自身もいま、ファー・イースト・ムーヴメントをはじめ、アジア系のパイオニアの方々にいろいろお世話になっており、数年前までは人種なんて関係ねーとか思っていましたが、いまはそういう繋がりも重要なんだなと痛感しています。

ファー・イースト・ムーヴメントのプログレス&ケヴ・ニッシュと。アーティストとしてはもちろん、アジア系アーティストを中心としたマネージメント会社や、ショウのプロダクション、レーベルなど、新しいアーティストのサポートにも尽力しています
 

エンターテイメント業界におけるアジアンの存在感はそれでもまだゼロに等しいです。アジア系俳優がハリウッド映画の正統派モテ役でヒット映画に出る日は、僕が生きてるうちには来ないかもしれないし、アジア人がグラミー賞で〈Album of the year〉を獲れる気配はいまのところありません 。それでもいま、確実にアジア・コミュニティーがマーケットとして音楽業界で無視できない存在になってきています。まさに自分たちはいま歴史的な時期にいるわけです。 僕らはもっともっと仲間が必要なので、われこそはという人は、ドシドシこの動きに参加してほしいです!

また、日本人も一応がんばってるんだぞっていうことで、ネット・ラジオの最大手でAppleが運営するラジオ局Beats 1の特別企画で、日本の音楽を特集する番組〈Takeover〉が立ち上がり、僭越ながら僕がその番組のホストをさせていただきました。Beats1も日本をはじめとしてアジア系のリスナーの開拓に力を入れていきたいということで、こういう企画が立ち上がったわけですが、こういうことがもっと増えていけばと切に思います。ちなみに番組のアーカイヴはApple Musicのアカウントを持っていると聴けるので、ぜひ聴いてみてください!

ということで、僕自身もグラミー賞を狙うべく、アルバム『Monday』制作が佳境に入っています。リリースは10月26日! 日本盤には、CharaNIPPS & METEOR & Jinmenusagiといった日本のアーティストを客演に迎えてのボーナス・トラックが入るのでお楽しみに!

starRo Monday MIYA TERRACE/トイズファクトリー(2016)

あと、9月10日(土)は 東京・渋谷のSound Museum Visionのレギュラー・イヴェント〈Trap Soul〉に出演、日本の他の都市も回る予定なので、宜しくお願いします!

★9月10日〈Trap Soul〉の詳細はこちら

ではまた次回までー!

 

PROFILE:starRo


LAを拠点に活動するプロデューサー。いま注目を集めるかの地のレーベル/コレクティヴ・Soulectionに所属し、オリジナル曲の制作に加えてフランク・オーシャンアウトキャストリアーナアッシャーなどのリミックスを自身のSoundCloudで多数公開するほか、滴草由実ら他アーティストへの楽曲提供なども行う。2015年2月に初EP『Emotion』をリリース。コンスタントに現地でライヴ/ツアーも行っている。また、本文中にもある通り、10月26日にファースト・フル・アルバム『Monday』(MIYA TERRACE/トイズファクトリー)をリリース! そのほか最新情報はこちらでチェックを! 

starRoの直近の楽曲たち
TOWER DOORS