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【starRoのLos Angeles云々】Vol.3 さよなら夏! 今年のフェスで感じた最近のトレンド

LAの注目レーベル/コレクティヴ・Soulectionに所属する日本人プロデューサー、starRoがUSの音楽事情などを発信する連載!

こんにちは! starRoです!

LAはまだ激暑で事実上はまだ真夏って感じなんですけど、暦的には夏が終わっちゃいましたね……。
職業上あんまり外に出るような感じじゃないんで、季節はさほど関係ないっちゃないんですが、夏のみんなが浮かれてる感じが大好きなので、毎年9月になると、大して(夏に)構ってもいなかったくせに急に切なくなるんですよね~(日本にいた時は高校野球が終わると夏終わった感を毎年感じてました)。

ってわけで、今年も夏っぽさはあんまり満喫できませんでしたけど、仕事的に夏はフェスも含めてライヴが多い時期。おかげさまでそっちのほうは、ものすごく充実しました!

今年出演させて頂いたフェスのなかでちょっと異色だったのは、いわゆるヒッピー系のフェスです(笑)。カリフォルニアの北方の山林のなかで、グレイトフル・デッドが70年代に定期的にライヴをやっていたという筋金入りのヒッピー野外ライヴの聖地みたいなところでして、僕も昔はバックパッカーだったりしたのでそういう文化をまったく通ってないわけではないんですが、タイダイ・ファッションとか、サイケデリックな音楽とか、最近はまったく縁がなかったし、そもそもstarRoの音楽とヒッピーに関連性も見い出せず、なんで呼ばれたのかまったくわからないまま、怖いもの見たさで出演依頼を引き受けました。

以前はヒッピー系野外フェスというと、音楽的にはトランスやそれこそグレイトフル・デッドのようなジャム・バンドという感じだったと思うので、今回も完全にそういうのを想像してたんですね……っていうか皆さんもそういうのを想像しません?

【参考動画】グレイトフル・デッドの72年のライヴ映像

 

それがなんと! 実際に行ったらなんで自分が呼ばれたのか、ちょっとだけわかっちゃいました。僕は3日続くフェスのうち1日しかいなかったんですが、少なくともその日に関してはかかってた音楽の8割方がトラップでした。しかも、なんかサイケデリックな感じのトラップがかかるならわかるんですけど(実際はそんなの聴いたこともないですけど・笑)、もう街のクラブでかかるようなゴリゴリのトラップがガンガンかかっててびっくりしました。みんな外見は間違いなくヒッピーなのにトラップで踊ってるというのは、僕にはものすごい違和感だったというか、原始的な要素と超未来的な要素が入り組んだマッド・マックス的な光景でした。

何が言いたかったのかというと、ヒッピー・フェスにまで浸透してしまうぐらい、アメリカではとにかくもうトラップ的な音が完全にEDM化してるというか、もう4つ打ち系のビートに並んで、完全にエレクトロニック・ミュージックのメイン・プラットフォームになってることを思い知らされたわけです(まあダブステップに取って替わったものと見たほうが自然なんでしょうけど)。かつて2000年代に4つ打ちがそうなったように、2~3年以内にはTop 40チャートはトラップ・ビートで制圧され、バンド系もみんなトラップ・インスパイヤーな曲をやりはじめるんでしょうね(笑)。ドラムをやっている方はいまから〈チキチキ〉刻むハットを練習しておくと、これから先5年ぐらいは食いっぱぐれることがないのでぜひ!

【参考動画】ジャック・ユーの〈Ultra Music Festival 2014〉でのライヴ映像

 

まあ、僕自身もトラップ的なビートは多用してるので、この流れはありがたいんですが、実際は食傷気味なところもあるので、トラップばっかりなのもなあ……と思ってるわけです。が、一方で最近特にヒップホップ周りでちょっとトレンドになりつつあるのは、ジャズなどの生演奏の要素を採り入れた音作りやライヴ・パフォーマンスですかね。わかりやすいところではケンドリック・ラマードクター・ドレーの新譜とかで明確に打ち出されているように、これまではエレクトロニクス一色だった景色に生演奏のオーガニックなサウンドが色を染めるようになりました。

【参考動画】ドクター・ドレーの2015年作『Compton』収録曲“Genocide”

 

実は僕のような駆け出しアーティストのレヴェルでも、実際その影響が見受けられるんです。例えば僕は以前から生演奏をできるだけライヴに採り入れるようにしてるんですが、以前はそういうのがちょっと煙たがれることもあって、手っ取り早く盛り上げられるDJセットを現場で求められることがほとんどでした。しかし最近ではイヴェントのプロモーターからバンドでやってほしいとわざわざ指定してブッキングされることが急に多くなってきたんです。特にヒップホップ/R&Bシーンのクラウドはクラブ・イヴェントでバンドのライヴ・パフォーマンスにあまり慣れてないので、うまくエレクトロニックと生演奏を調合して魅せないといけないんですが、そのへんもむしろプロデューサーの場合は腕の見せどころなところもあり、これがすごく楽しいんです。

最近のEDM周りのプロデューサーによるパフォーマンスでは、DJセットに太鼓とかシンバルとかを取り込んだりするのがトレンドになってきていて、エレクトロニック・ミュージック界ではいま全体的にそういうライヴ・パフォーマンス性がまた注目されはじめてる感じがします。

そんなわけで、いろいろとおもしろい流れがあちこちで起こってまして、そういうのを肌で感じながら、自分なりの表現方法を追求していく日々を毎日過ごしてます。そういえば、音の面での変化もさることながら、最近はSoundCloudなどネット上におけるインフラも大きな変化が起こっていて……次回はそのへんにも触れていきたいと思ってます。

それでは今回はこのへんで!

先日SoundCloudのサンフランシスコ・オフィスにお招き頂きました。左はサンクラのアーティスト・リレーション・マネージャーのジェーンさん、真ん中は僕のマネージャーのケイレブくん。SoundCloud関連の話題は次回に!

 

PROFILE:starRo


LAを拠点に活動するプロデューサー。いま注目を集めるかの地のレーベル/コレクティヴ・Soulectionに所属し、オリジナル曲の制作に加えてフランク・オーシャンアウトキャストリアーナアッシャーなどのリミックスを自身のSoundCloudで多数公開するほか、滴草由実ら他アーティストへの楽曲提供なども行う。2015年2月に初EP『Emotion』をリリース。コンスタントに現地でライヴ/ツアーも行っている。最新情報はこちらでチェックを!

【参考音源】starRoの2015年の楽曲“House Party”
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