80年の名曲“Island Nights”でAOR史にその名を刻むトニー・シュートのニュー・アルバム。彼らしいドラマティックな陰影に富んだ歌謡曲的ナンバーを中心に据えつつ、ハードなギターの鳴るロック・チューン、アーバンなレゲエ風、さらにビーチ・ボーイズを思わせるハーモニー・ポップまで、引き出しの多さに驚く。が、どの曲にもまさしく〈大人のロック〉と呼ぶ以外ない琥珀色の品格が備わっている点は流石だ。