Photo by 吾郎メモ(2014.4.24)

2012年、『しばたさとこ島』でデビューしたシンガー・ソングライターの柴田聡子。昨年リリースした『海へ行こうか EP』を挟んで2年振りとなる、待望のセカンド・アルバムは、近年ライヴで歌い続けてきた新曲16曲を一気に大放出した、セルフ・レコーディングによる(ほぼ全編)弾き語りアルバム!

 2012年『しばたさとこ島』でデビューしたシンガー・ソングライター柴田聡子。昨年リリースした『海へ行こうか EP』を挟んで2年振りとなる、待望のセカンド・アルバムは、近年ライヴで歌い続けてきた新曲16曲を一気に大放出した、セルフ・レコーディングによる(ほぼ全編)弾き語りアルバム!

 いまのインディー・シーンの盛り上がりの一端をになっているSSWたちの動きの中でも、一際目立った存在とも言える柴田聡子。本人名義の他にも、山本精一、岡田徹のユニット、 ya-to-iに参加したり、“チョココロネの歌”でお茶の間に進出したりと注目度がアップしている中で、セカンド・フル・アルバム『いじわる全集』をリリース。

 勢いに乗った柴田さんの熱い言葉が聞ける、とインタビューを敢行しましたが、本人はいつもの飄々とした感じでした。ご本人が好きだというグレン・グールドの話とかも訊きたかったのですが、新作中心に絞った話をしました。

柴田聡子 『いじわる全集』 shibata satoko/Pヴァイン(2014)

 

――今回のアルバムっていうのは、前作の『しばたさとこ島』に比べてすごいシンプルな作りになっていると思うんですけど、そこは意識しましたか?

「そうですね、そうですね、、、あ、でも、けっこうこうなるしかないというかんじ、、、」

――まえのも基本は弾き語りで録って、あとで音が重ねられたという感じだったと思うんですけど、それをあまりやらないことにしたという考えですか?

「あ、そうですね」

――その中でも、植野さん(植野隆司:テニスコーツ)のギターがちょっと入ってたりというのが割と印象的だったんですけども、それは自分からお願いしてやったという感じなんですか?

「そうですね。でも、この曲で、というのは言ってなくて、デモを渡して、なんとなく〈お願いします〉って言っておいて、で、録音に来てもらったときに、植野さん自身も〈あ、ここ〉っていうのがあったらしくて、パッとって入れてくれました」

――極力重ねない方向でってことですかね?

「なんか、いいんじゃないかなー、と思って。いらないかなー、と思って」

――これはセルフ・プロデュースってことになるんでしょうか?

「まあ、プロデュースってほどではないと思うんですけど、、、そういう意識はなく、、」

――試聴室(神保町にあるライブ・スペース)で録ったんですよね?

「そうです」

――そのとき、自分でセッティングもして録ったんでしょうか?

「はい、そういうかんじです」

――そもそもなんですが、三沢さん(三沢洋紀:三沢洋紀と岡林ロックンロール・センターなどで活躍、元ラブクライ)とか植野さんとかとの出会いって?

「まさに、『しばたさとこ島』を作っているときに、私がほんと何も知らずに、、、あ、三沢さんは『しばたさとこ島』を作ってくれたDJぷりぷり(現:セクシーキラー)さんという方の繋がりで紹介してもらって、で、そこからアルバムを作るときに三沢さんが植野さんを呼んできて弾いてもらったところが植野さんとの始まりですね。なんかすごいギタリストの人が来た、と思って、、、」

――ま、すごいですよね。

「すごいなー、と思って。テニスコーツとか聴いたことがなかったんですけど、、、すごい人がきた、と思いました」

――もともとはバンドをやってたじゃないですかラミ子っていう。そこから一人で弾き語りでやろう、と思ったのはどういう心境だったんですか?

「えーっとこれは、これもなんていうか偶然みたいなもので、けっこういろんなところでも話しちゃってるんですけど、学校の発表があって、で、その発表のときに先生がいたんでですけど、先生が〈お前は歌うか踊るかするんだろ?〉とか言われて、〈えーっ〉と思って、じゃあ歌うかな、と思って歌ってみて、そうしたらすごい、場がわっと熱 い、というか盛り上がるかんじがあって」

――これはイケるぞ、と。

「これはなんか向いてるかなー、とか思いながら始めました。いつのまにかこうなっているっていう」

――いま、すごいいっぱいライブをやっている印象があるんですけど、月にどのくらい演っているんですか?

「ここ1年半くらい10本くらいが続いてたんですけど、、、」

――月に10回くらい?

「そう、最低10回くらい、、、」

――そうしたら3日に1回くらいなかんじですね。

「でも、ツアーとかがあるとずーつと演るんですけど。なんか、さすがに3月くらいに一瞬体調が崩れて(笑)、〈考えよう〉とか思いながら演ってます」

――どういう場所で演ることが多いんですか? 場合によってはカフェとかもありますよね?

「カフェとかはぜんぜん演ります。ライブハウスもたまにあるし、けっこう、ここで、というのが決められないというか、いろんなところで。川べりとかで演らせてもらったり」

――行った先々で、似たようなかんじで演っている人っているんですか?

「そうですね、ツアーのときとかは弾き語りの人と組んでもらったりすることが多いですね。いっぱいいろんな、すごい人がいます」

――アルバムから先行の7インチ(“いきすぎた友達”)っていうのはどういう経緯で出たんですか?

「いきなりHさん(なりすレコード)から、締め切りの2週間前くらいに〈つくるぞ!〉と言われて、〈えーっ、時間がない〉 と思いながら、で、シングル・カットって言われて、私はシングル・カットっていう意識はまあ、あるんですけど、なんかすごい遠いところのはなしのような感じがしちゃってて、なんていうんですかね、大物の人が出すというか。(アルバムと同じ曲なんで)シングル・カットとかって詐欺じゃないですか?、とか言いながらやってたんですけど、、、ま、そんなことは別にないし、とかいう話になって、で、B面でMAHOΩってバンドの“しかけの恋”って曲をカヴァーするから、いいんじゃないか、と思って」

――これ、8センチCDがついてますよね。

「これはHさんのアイデアで、親切で付けたみたいなんですけど、出来上がったあとに気づいてました〈これ、普通のひと、結構聴けないじゃん〉って」

――パソコンに入らないとかね。

「なんか、天然で気づかなかったらしいです」

――ダウンロードの代わり、みたいなイメージですよね。

「そう、そういうイメージなんですけど、じつはすごいマニアックなメディアを2つも入れてしまったていう、、、」