最高の新曲も収録された2枚目のベスト・アルバム!!!
青々としたネギ畑の風景にまず圧倒されますが……この7月20日で結成14周年となり、15年目に突入したNegiccoが、その記念日に2枚目のベスト・アルバム『Negicco 2011~2017 -BEST- 2』をリリースしました。数字が示すのはそのままT-Palette入りして以来の歳月で、収録曲は加入第1弾ミニ・アルバム『GET IT ON!』から昨年の“矛盾、はじめました。”までのシングル曲を中心にセレクト。エクスクルーシヴとなる書き下ろしの新曲や初音源化のナンバー、さらには長谷泰宏によるオープニングSEの“Make Up Prelude”(これももちろん初音源化)も含め、全17曲が満載された盛りだくさんな内容に仕上がっています。
で、何はなくとも必聴なのが新曲の“愛は光”なのは言うまでもありません。すでにMVも公開されているこのナンバーは、堀込高樹の作詞/作曲をそのままKIRINJIのメンバーたちがアレンジ/演奏した贅沢な一曲。素朴で凛とした歌唱が穏やかなテンポを纏いながら、演者と観客の分かち難い関係性を綴っていきます。自分たちとオーディエンスを月と太陽に例え、〈光があるから輝ける〉と歌う姿がまったく陳腐に映らないのはNegiccoならでは。テーマや展開はまったく異なるものの、かつてキリンジとのコラボで鈴木亜美が残した名曲“それもきっとしあわせ”(2007年)に通じる空気を感じる人もいることでしょう。いずれにせよ胸がいっぱいになるような名曲/名唱には違いありません。
以降に並ぶこれまでのシングル曲たちのクレジットを眺めれば、connieを中心に、西寺郷太や小西康陽、矢野博康、田島貴男、池田貴史、土岐麻子×さかいゆう……と、錚々たる作家陣の名が連なっていくわけですが、今回そこに加わるのが初音源化の“ともだちがいない!”を編曲/演奏したHomecomings(福富優樹が作詞、畳野彩加が作曲を担当)であります。Negicco曲には珍しくギター・リフの立った意匠が新鮮なロック・チューンで、3人にまた違う可能性を拓く一曲ともなるでしょう。初音源化ナンバーのもう1曲はconnieの手掛けたウォーキング・テンポの“くちびるにメロディ”。関係の長い彼だからこそ描ける等身大の雰囲気が愛らしいです。
節目の感慨と同時に新しい期待も浮かんでくるような今回の『Negicco 2011~2017 -BEST- 2』。ベストを出して一区切りという状況は5年前と同じではありましょうが、前ベストにあたる『Negicco 2003~2012 -BEST-』がそれまでの長いキャリアを集大成する意味合いが強かったのに対し、今回のリリースには15年目を力強く進むための〈通過点〉という意識も強く感じられます。春にはZepp DiverCityをファイナルとするライヴハウス・ツアー〈SPRING 2017 TOUR~ライブハウスのネギ~〉を成功させたばかりですが、多種多様な現場が待ち受ける夏を経て、この秋には新潟・北方文化博物館にて〈NEGiFES 2017〉の開催も決定済み。この先の季節をNegiccoがどのように進んでいくのか、どのように光に照らされ、光を放っていくのか、15年目の彼女たちも楽しみで仕方ありません。