エレクトロ・ハウスの最先端か、あるいはトランス~EDMを経由したトロピカル・ハウスの進化形か、はたまたフレンチ・タッチの新たなフェイズか。パリ在住の新世代プロデューサーによる初のアルバムが、プームを輩出したことも記憶に新しいクロネコから到着。幼少期からクラシックとジャズを嗜んできたという素養がエモーショナルなメロディーを形作り、心地良い浮遊感と程良い昂揚を携えたトラック群は新人らしからぬ完成度を誇る。荘厳なプロローグ“Valse Suspendue”で幕を開けるや、ストリングスの音色がオリエンタルなムードを演出したその名も“Fuji”、ドラマティックな展開が待ち受けるハウス・チューンの表題曲“Atlas”など、全編を通底する清涼感溢れるムードのなかをダンス・オリエンテッドな楽曲が押し寄せ、グイグイとアルバムを推進していく。随所に入るフランス語のポエトリーもスパイスを効かせて作中の情緒を醸し出すのに一役買っており、今夏のヘヴィー・プレイはまず間違いなさそう。