BETTER DAYSレーベル設立40周年記念、高音質UHQCDで再発売!
坂本龍一の『千のナイフ』を筆頭に、1977年~1984年の間先鋭的なアーティストを多数リリースし、海外からも再評価が進むレーベル〈BETTER DAYS〉が設立40周年を迎えた事を記念して、この度UHQCDにて10タイトルリイシューされた。今回はその中からムクワジュ・アンサンブルについて紹介したいと思う。
ムクワジュ・アンサンブルは高田みどり、定成庸司、荒瀬順子によるパーカッション・アンサンブルで、今回復刻された『ムクワジュ・ファースト』は久石譲がプロデュース、作曲、編曲を行ない、自らキーボードで参加もしている。本作は久石譲が学生時代から傾倒していたミニマル・ミュージックの音楽の在り方を具現化した初めての作品で、その後の久石作品の萌芽としても非常に興味深い内容に仕上がっている。また、YMOでの活動でも知られる松武秀樹もシンセサイザー・プログラミングで参加する事で、現代音楽の世界のミニマルと違った意匠を纏った日本産のミニマルとして、唯一無二の世界を描いている。
セカンド・アルバム『樹・モーション』は久石に代わり、千野秀一プロデュースにより制作され、高田みどり作曲作品も2曲収録されている。中でも“ホット・エア”では瞑想的な音響を生み出しており、ブライアン・イーノの 『Music For Airports』の影響も感じさせるアンビエント的なアプローチを具現化している。
アフリカのポリリズムとライヒらのミニマルに千野の前衛的な音創りが融合し、前作とは違う、より複雑な音像を描き出すことに成功している。
メンバーの高田みどりは東京芸大卒業後、現代音楽の演奏家としてだけでなく、様々なジャンルを超えたコラボレーションで知られる異才で、昨年83年発表のソロ作『鏡の向こう側』が日本に先立って海外レーベルよりリイシューされる等、様々な音楽マニアから熱い視線を注がれており、今回のリイシューでよりその再評価の波が進みそうだ。