これまでにもニクソン大統領をテーマとした「中国のニクソン」や、遊覧船アキレ・ラウロ号事件を題材にした「クリングホファーの死」など様々な社会的テーマを取り上げてオペラ作品へと昇華して来たジョン・アダムズ。この度全曲録音盤(2017年録音)として発表された「ドクター・アトミック」も〈原爆の父〉と呼ばれたロバート・オッペンハイマーの実話を題材としており、脚本はピーター・セラーズが担当している。今回の録音ではアダムズ自ら指揮を振り、初演以降博士役を担って来たバリトン、ジェラルド・フィンリーによる繊細な感情表現が現出された素晴らしい演奏が収録されている。