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コラム

ポール・ウェラー(Paul Weller)『An Orchestrated Songbook』40年のキャリアから選りすぐった名曲をBBC交響楽団の演奏で堪能しよう!

©Mary McCartney

英国を代表するロック・レジェンドがBBC交響楽団と共演したライヴ盤をリリース! 40年の歩みから選りすぐった名曲をオーケストラで堪能しよう!

 昨年の『On Sunset』に続く格好で、今年5月にリリースした最新オリジナル・アルバム『Fat Pop (Volume 1)』が、バンド時代も含めてキャリア通算8枚目の全英チャートNo.1を獲得したポール・ウェラー。チャートの在り方も時代と共に変わっているのでそこに意味を見すぎる必要はないものの、アルバム2タイトルが連続で全英1位を獲得するのは彼にとっても初めてのことで、シンプルな指標としてこの大御所がいよいよ揺るぎないポジションを盤石にしているのは確かだし、少なくとも自身のオーディエンスと良い関係を築けているのは間違いない。

PAUL WELLER, JULES BUCKLEY, BBC SYMPHONY ORCHESTRA 『An Orchestrated Songbook』 Polydor/ユニバーサル(2021)

 そうした好況を受けてこのたびリリースされる『An Orchestrated Songbook』は、その『Fat Pop (Volume 1)』リリース翌日にBBC交響楽団を従えてロンドンのバービカン・センターで開催/ライヴ配信されたコンサートの模様を収めたライヴ・アルバムである。BBC交響楽団の指揮を務めるのは最近いよいよ活躍が目立っているジュールス・バックリー。ヘリテイジ・オーケストラやメトロポール・オーケストラを指揮する彼は、マイケル・キワヌーカやエミリー・サンデーらの作品に参加した10年代から多くのポップ作品に関わっていくようになり、ローラ・マヴーラのライヴ盤『At Abbey Road Studios』(2014年)やスナーキー・パピー、ジェイコブ・コリアー、ジェシー・ウェア、レディシらの作品に参加。今年はヒップホップのルーツになったソウル/ファンク曲を演奏する『The Breaks』も話題になったばかりだ。交響楽団のほかにはポール馴染みのスティーヴ・クラドック(オーシャン・カラー・シーン)がギターで駆けつけたほか、それぞれ世代も異なるゲスト・ヴォーカルも3曲で登場、格調の高さだけで終わらないスペシャルなサーヴィスも用意されているというわけだ。

 ジャムやスタイル・カウンシル時代からライヴ音源集を定期的に残してきているポールは、ソロになってからも94年の『Live Wood』以来コンスタントなペースでライヴ盤を届けてきた。直近でいうと、2018年10月にオーケストラをバックに行われたロイヤル・フェスティバル・ホール公演の模様を収めた『Other Aspects: Live At The Royal Festival Hall』(2019年)も記憶に新しく、そちらはキャリアを網羅しつつリリースされたばかりの『True Meanings』収録曲をメインにしたものだったが、今回の『An Orchestrated Songbook』でも直近の『Fat Pop (Volume 1)』と『On Sunset』『True Meanings』といった直近3作の収録曲がセットの主軸を担っている。

 オープニングを飾る“Andromeda”は『Wake Up The Nation』(2010年)収録の小品で、木管やストリングスが楽曲のビートリーな要素を引き出しているのが心地良い。それに続くのはジャム時代の“English Rose”(78年)、スタカン時代の“My Ever Changing Moods”(84年)といった往年の名曲たち。逞しく円熟した主役の歌唱も手伝って、スタカンの曲などはよりエレガントに伝わってくることだろう。ジャム曲では“Carnation”(82年)、スタカンの曲は“You’re The Best Thing”(84年)もラインナップされ、後者はゲストのボーイ・ジョージと熱っぽくソウルフルに聴かせる。すでに『Other Aspects』でオーケストラルなポールは体感済みとはいえ、包み込むような厚みのあるサウンドで迫る様は当然のように圧倒的だ。

 それら以外はすべてソロ時代のレパートリーとなり、目立っているのはやはり金字塔『Stanley Road』(95年)所収のナンバー。そのうち“Broken Stones”はジェイムズ・モリソンを迎えてエモーショナルに披露されているし、数多くのライヴ盤でも聴ける“You Do Something To Me”のスケール感も聴きどころだろう。定番という意味では『Wild Wood』(93年)のタイトル曲こそすべてのライヴ盤に収まっている大定番となり、ここでは新星セレステをフィーチャ−した他にないヴァージョンで楽しむことができる。いずれにせよ伝わってくるのはポールの書く楽曲の素晴らしさとアレンジを選ばない耐久性、そして現在のポールが纏った余裕と凄味に違いない。

 なお、今作は日本盤のみ2枚組のデラックス・エディションも用意され、そちらのDisc-2にはまた別の配信ライヴ〈Mid-Sömmer Musik〉の音源が収録されている。『Fat Pop (Volume 1)』と『On Sunset』のレパートリーを中心にしたこちらはDisc-1との曲かぶりも少ないため、併せて必聴の内容と言えそうだ。

 

『An Orchestrated Songbook』に参加したアーティストの関連盤。
左から、ジュールス・バックリー+ヘリテイジ・オーケストラ&ゴースト・ノートの2021年作『The Breaks』(Decca)、ジュールス・バックリーが参加したレディシの2021年作『Ledisi Sings Nina』(Listen Back/BMG)、ジェシー・ウェアの2020年作『What's Your Pleasure?』(PMR/Virgin EMI)、ピート・トンの2019年作『Chilled Classics』(Polydor)、ジェイムズ・モリソンの2019年作『You're Stronger Than You Know』(Stanley Park)、ボーイ・ジョージ&カルチャー・クラブの2018年作『Life』(BMG)、セレステの2021年作『Not Your Muse』(Both Sides/Polydor)、オーシャン・カラー・シーンの2013年作『Painting』(Cooking Vinyl)

 

『An Orchestrated Songbook』収録曲のオリジナルなどを含む作品。
左から、ポール・ウェラーの2021年作『Fat Pop(Volume 1)』、2020年作『On Sunset』(共にPolydor)、2019年のライヴ盤『Other Aspects』、2018年作『True Meanings』(共にParlophone)、2010年作『Wake Up The Nation』(Yep Roc)、95年作『Stanley Road』、93年作『Wild Wood』(共にGo! Discs)、スタイル・カウンシルの88年作『Confessions Of A Pop Group』、84年作『Cafe Bleu』、ジャムの82年作『The Gift』、78年作『All Mod Cons』(すべてPolydor)

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