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コラム

映画「君の名前で僕を呼んで」アカデミー賞脚色賞受賞! 愛の神秘、エロス道の奥義を賛美する傑作がいよいよ4月に公開

©Frenesy, La Cinefacture

愛の神秘、エロス道の奥義を賛美する傑作

 ジョン・アダムスの軽快なピアノ曲“Hallelujah Junction”に乗せて次々と映し出される、古代ギリシア=ローマ美術品の数々。当時の人々が〈理想の男性像〉として追い求めた、優美で雄々しい彫像たちを背景にした、この魅惑のオープニングからして期待の高まる本作。物語の舞台は1983年、北イタリアのどこか。少年エリオ(ティモシー・シャラメ)は毎年、夏には両親とこの地で過ごすのが恒例。米国の大学で教鞭をとるギリシア=ローマ美術史が専門の父(マイケル・スタールバーグ)、翻訳家の母(アミラ・カサール)に育てられた彼は17歳にして既に高い教養の持ち主で、歴史や文学に親しみ、ピアノやギターの腕前もなかなかの才人。だが決して〈オタク〉などではなく、仲間たちと外出して夜遊びしたり、女の子とふざけ合ったりして青春を謳歌するタイプ。何しろ彼は美しい容姿に恵まれた、とびきりの美少年なのである!

 エリオの父、パールマン教授は毎回、ヴィラで一緒にひと夏を過ごし、自分の研究を手伝ってくれるインターンを迎えるのを習わしにしており、今年も24歳の大学院生、オリヴァー(アーミー・ハマー)がやって来る。長身の彼はまさに、例の彫像の如くしなやかで均整のとれた肢体が眩しいハンサムな男性。若者たちばかりか地元の大人たちともすぐに打ち解ける明るい性格で、しかもかなりのインテリ。屈託のない態度のオリヴァーを最初は疎ましく思っていたエリオだったが、まるで不思議な磁石の力が働くように、二人は引きつけ合ったり反発したりしながら、次第にその距離を縮めていくのだった。まばゆい夏の光の中で、エリオにとって初めての、そして生涯忘れられない恋が始まる……。

 原作はユダヤ人作家、アドレ・アシマンが2007年に発表した同名小説。現在、教授として米国の名門大で文芸創作を教えているというアシマンは、パールマン教授やその後のオリヴァーもしくはエリオを彷彿とさせる人物。恐らく彼の自伝的要素が物語にかなり盛り込まれていると考えられる(※かつて美少年だったかどうかは、映画にカメオ出演している今の彼の姿から判断を)。

 官能的描写が緻密なことでも話題を呼んだこの原作の映像化に挑んだのは、「ミラノ、愛に生きる」(2009年)や「胸騒ぎのシチリア」(2015年)などの作品で高評価を得てきたイタリアのルカ・グァダニーノ監督。自身の住むロンバルディア州クレマの町でロケを敢行し、田園風景の広がる牧歌的環境の中で、息子を知的好奇心や芸術の世界にのびのびと触れさせているパールマン家の暮らしぶりを完璧に再現して見せた。加えて脚色を「モーリス」(1987年)や「日の名残り」(1993年)などで知られる巨匠、ジェームズ・アイヴォリーが担当。89歳のアイヴォリーが17歳と24歳の青年の〈愛の歓びと痛み〉をこれほどまでに瑞々しく描ききったことに、誰もが称賛の声を惜しまないだろう。

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