今こそ再評価されるべきララージ、待望の単独初来日ツアー決定!

 ニューエイジ/アンビエント/ドローンといったタームが新たな文脈で捉え直されている今、ララージほど再評価に値するミュージシャンも珍しいだろう。1943年生まれという高齢の彼だが、この度、初の単独来日公演を行うことが決定。東京、大阪、京都でライヴが行われる。

 ララージのパフォーマンスが魅惑的であることは、70年代にワシントン・スクエア公園で演奏していたところをブライアン・イーノに見出された、というエピソードからも明らかだ。イーノを虜にしたストリート・パフォーマンスは、彼のアンビエント・シリーズの3作目『Day of Radiance』でもその片鱗を見ることができるが、生演奏はやはり格別だろう。

 ピアニスト/パーカッション奏者としても非凡なところを見せるララージだが、やはり最大のみどころはトレードマークであるツィター(主にドイツ南部、オーストリア、スイスなどでよく使用される弦楽器で、日本の箏に似た形状をしているが、長さは短い)の演奏だ。その幽玄な音色は聴く者を深い瞑想に誘い、夢見心地にさせてくれる。聴いたことのない音色を求めるリスナーに、ツィターは例えばダクソフォンがそうであるように、未知の音色との遭遇を切り開いてくれるものではないだろうか。

 極上のサイケデリック/チル・アウト・ミュージックでありながら、90年代にトランス系のレイヴに通い詰めていたようなリスナーにも訴求力を持ち得るララージの音楽。世代を問わず恍惚とさせてくれる音楽を求める者にはたまらないライヴとなるだろう。例えばボアダムスやROVOが好きな若い層にも強く訴えるものがあるのではないだろうか。

 また、近年の再発ではオーディオ・アクティヴとの共作でも聴くことができるヴォーカリストとしての側面にフォーカスが当たっている。精神世界に深く耽溺しているようなその歌声は、観る者を天上へと誘ってくれるだろう。さらには、催眠的なドローンも魅力のひとつだから、時間感覚を失ってしまうような深いトランス状態へと導いてくれることも予測される。

 個人的には彼の音楽はスピリチュアル・ジャズと共振するところもあると思うので、ジョン・コルトレーンやサン・ラー・アーケストラ、アリス・コルトレーン、フライング・ロータス、ミゲル・アトウッド・ファーガソンあたりが好きな人にもお薦めしたい。ともあれ、今から来日が楽しみになってきたのは間違いない。今から『Day of Radiance』。『Om Namah Shivaya』、 『The Way Out Is The Way In』といった過去作を復習して臨んではいかがだろうか。

 


LIVE INFORMATION

LARAAJI JAPAN TOUR 2018 Laraaji – Tokyo Premiere Shows –
○9/15(土) [1st set]16:30開演/[2nd set]19:30開演  
会場:Shibuya WWW(東京・単独公演)

brane
○9/16(日)17:30開場/18:00開演  
会場:南港サンセットホール(大阪)

Laraaji Japan Tour in Kyoto supported by 外/Meditations
○9/17(月・祝)18:30開場/19:30開演  
会場:METRO(京都)