日本期待の若手女性サックス奏者が、鮮烈なデビュー盤を発表!!

 世界的にも女性ソロ奏者が少ないクラシック・サックス界で、近年注目を集める才色兼備の若手がいる。2018年7月にスロヴェニア国際サクソフォンコンクールで女性初優勝を飾った住谷美帆だ。12月にはデビュー盤『プロムナード』を発表。本人曰く、「ライヴと違って音だけの勝負なので、普段の2倍の表現がないと伝わりきらないと思って。編曲ものはすべてオリジナルを意識して原調のまま演奏し、テンポや音色の処理にもこだわり抜きました」とのこと。卓越した技術に裏打ちされた、のびやかな歌と多彩な表現が光る。中でも秀逸なのが、表題作を含むムソルグスキーの組曲“展覧会の絵”だ。

 「16年のデビュー公演でも吹いた作品で、ピアノはその時と同じイリヤ・ラシュコフスキーさん。前回はラヴェルの管弦楽版に近い解釈でしたが、今回はヴィブラートを様々に吹き分けて、原曲のピアノ版に寄せた演奏を心がけました。イリヤさんとの呼吸も深まり、マイクの位置を変えながら、サックス主体、2楽器が対等、ピアノ主体と、曲想に応じた音量のバランスにも細心の注意を払ったつもりです」

住谷美帆 『プロムナード』 キング(2018)

 当盤には他にも、ショパン“12の練習曲Op10-4”や、シューベルト“4つの即興曲Op.90-3”といったピアノ曲の編曲が並ぶ。

 「私は12歳でサックスを始めましたが、それ以前に5歳から習っていたのがピアノ。今回は自分の原点に戻りたくて選びました。旭井翔一さんが新編曲してくださったショパンではサックスの機能性をいかしたインパクト大の演奏を。“展覧会~”と同じ長生淳さん編曲のシューベルトではこの楽器ならではの甘美な音色を、各々お楽しみください」

 そして当盤のもうひとつの注目が、サックスのオリジナル2曲。グラズノフ“協奏曲”と、ボノー“ワルツ形式によるカプリス”だ。

 「グラズノフの原曲の伴奏は、弦楽5部のオケ。でも今回のピアノ伴奏版では、イリヤさんの妙技のお陰もあって、原曲張りの色彩豊かな演奏になったと思います。ボノーの小品は、“展覧会~”と“協奏曲”の2つの大曲の後にちょうどいいと思って。自由なテンポで自分自身が楽しむことを第一に演奏したら、ほぼ一発で録れました(笑)」

 4月には発売記念公演も開催。“展覧会~”などのCD収曲はもちろん、フランクの傑作ヴァイオリン・ソナタのサックス版など楽しみな作品が多数予定されている。今回のコンクールの勝因を、「勝ちを意識せず、自分のやりたい音楽をやった結果かな」と笑顔で振り返る若き本格派のさらなる進化を期待しよう!

 


LIVE INFORMATION
2018年12月16日(日)埼玉 プラザウエスト さくらホール
開演:14:00
2019年1月6日(日)東京・水道 トッパンホール
開演:15:00
2019年2月7日(木)神奈川 横浜市栄区民文化センターリリス
開演:14:00
2019年2月23日(土)静岡音楽館AOI
開演:10:30・13:00(2ステージ)

デビュー・アルバム「プロムナード」発売記念コンサート
2019年4月7日(日)東京・上野 東京文化会館小ホール
開演:14:00

https://www.concert.co.jp/artist/Miho_Sumiya/