杉浦茂タッチのアメコミ的イラストにぼんやりと浮かぶ椅子に凭れる黒人男性と思しきシルエット、現代アメリカへの強いメッセージを打ち出したアートワークにドキっとさせられるアキンムシーレの新作。内容も明確なコンセプトを持っており、男性と女性、富裕層とゲットー、作曲と自由即興、そしてヒップホップとクラシック、様々な対極とされるものを同居させる。それらは実は隣人であるという提言、そこから実に革新的な表現を生み出している。美しく不穏なストリングスに舌鋒鋭いラップが切り込む。この緊張感をまとめるのはやはりアキンムシーレのトランペット、一瞬たりとも耳を離すことができない。