グラミー賞に10度ノミネートされた現代最高峰のアーティスト、ミシェル・ンデゲオチェロ。類稀なミュージシャンシップと独自の美意識を誇る孤高の才人がこのたびブルーノート入り! 最高のニュー・アルバムが届いたタイミングで、その足取りを改めて振り返ってみよう!
「これは私の旅、私の人生、そして私のすべてのうちのほんの一部です。初めてレコードを作ったのは22歳の時で、それから30年以上も経っているから、共有したいことはまだまだたくさんあります」。
ブルーノート移籍作となったニュー・アルバム『The Omnichord Real Book』をリリースするにあたって、ミシェル・ンデゲオチェロはそのように語る。ここ数年の表立った活動は決して賑やかではなかったが、パンデミックによるロックダウンの影響について「私にとってそれは素晴らしい時間だったと認めざるを得ません。腰を据えて音楽に改めて向き合うことができました」と認める彼女は、その期間もしっかり英気を養ってふたたび創作に取り組むための準備をしていたということだろう。
ミシェルとブルーノートの縁といえば、グラミー賞を受賞したロバート・グラスパー・エクスペリメントののアルバム『Black Radio』にて“The Consequences Of Jealousy”に客演した2012年ということになるのだろうか。2014年にはファッツ・ウォーラーの音楽を再解釈したジェイソン・モランの『All Rise: A Joyful Elegy For Fats Waller』にプロデューサー/ヴォーカリストとして関わっているし、さらに2016年にはマーカス・ストリクランズ・トワイライフの『Nihil Novi』でもプロデュース/ベース演奏を担っていた。
そんな彼女は幼少期に両親のレコード・コレクションと共に過ごした時間を振り返り、「レコードを調べたり、ブルーノートのロゴを見るのが大好きでした。〈ジャズ〉という言葉はとても重いので私は避けていますが、自己表現をテーマとしたレーベルに所属できることにとても感動しています」とも喜びを語っている。その言葉の通り、彼女は長くマイペースな旅を通じて〈初めてレコードを作った22歳の時〉から常に自己表現を真摯に追求してきた。