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ブルーノート移籍第一弾は、シンプルな表現による多彩なリズム・アプローチが極めて芸術的!

 名門ブルーノートからのミシェル・ンデゲオチェロの新作。ロバート・グラスパーの『ブラック・レディオ』(2012年)やジェイソン・モラン(本作にも参加!)の『オール・ライズ』(2014年)への参加から、すでにこの移籍は見えていた感じがしますね。パンデミック期間中にじっくりと音楽と向き合ったという彼女、両親が亡くなりすべてが動き出したそうで、「古いものを新しい方法で見るやり方を表現した作品」とも語っています。

MESHELL NDEGEOCELLO 『The Omnichord Real Book』 Blue Note/ユニバーサル(2023)

 全曲ミシェルの書き下ろしで、マルチ奏者&作曲家のジョシュ・ジョンソン(サックス/ヴォーカル)のプロデュース。ジャズの質感の上にあるソウル、R&B、トラディショナルなアフリカン~アフロ・キューバン、アフロ・ビートと、多彩なリズム・アプローチが極めて芸術的です。1つ1つの音色がまた絶品で、シンプルな表現がまたそれを際立たせ最大限の宇宙を感じさせてくれます。そもそもの楽曲のパワーとそれを倍増させるアレンジの秀逸さは見事というしかないです。もうぐぐっとその世界の中に引き込まれます。

 ミシェルはヴォーカル、キーボード、ベース、エレクトリック・ハープ(鈴木楽器のオムニコードだったりして?)のクレジットで、クリス・ブルース(ギター)、ジェビン・ブルーニ(ピアノ/キーボード)、エイブ・ラウンズ(ドラムス/パーカッション)という近年の彼女を支える面々が参加。さらに適材適所な敏腕ゲスト、ディーントニ・パークス(ドラムス)、マーク・ジュリアナ(ドラムス)、ジェフ・パーカー(ギター)、コリー・ヘンリー(ピアノ)、ジョエル・ロス(ヴィブラフォン)、ジェイソン・モラン(ピアノ)、ブランディー・ヤンガー(ハープ)、ジュリアス・ロドリゲス(オルガン)、アンブローズ・アキンムシーレ(トランペット)らが、個性的な美しいアプローチを聴かせてくれます。

 打楽器奏者の私はパークスのアフロ・ビート~人力マシン訛りビート、ジュリアナの〈ビート・ミュージック〉的ジャズ・グルーヴの素晴らしさに泣きました。もちろんすべてはミシェルの音楽の中にあります。間違いなく、今後、ずっと聴き続けるであろう傑作です。