インタビュー

NOISEMAKER『RARA』 聴き手の声を拡声器に、壮大なスケールで轟くハイブリッド・サウンド

NOISEMAKER『RARA』 聴き手の声を拡声器に、壮大なスケールで轟くハイブリッド・サウンド

さまざまな意味におけるオルタナ・スピリットが炸裂した新作。聴き手の声を拡声器に壮大なスケールで轟くハイブリッド・サウンドは、いま、より広いフィールドへ!

 「日本のシーンも海外のシーンも何も狙わず考えずに、やりたいことを思いっきりやったってところですかね。とにかく自分たちが一番ヤバイって思うものだけに集中して作りました」(AG、ヴォーカル:以下同)。

 約1年4か月ぶりとなるNOISEMAKERの新作『RARA』。スタジアムを揺らさんばかりのスケール感と肉体的な力強いグルーヴを持ったバンド・サウンド、それを効果的に彩る電子要素が混ざり合うことで生まれる彼ららしさがより洗練され、バンドの充実ぶりが窺える快作に仕上がった。

NOISEMAKER RARA Platinum shoes(2019)

 「サウンド面で言えば、(90~2000年代の)グランジ/オルタナのオールドなサウンドと、ハイブリッドな音が共存すること。今はデジタルな手法で誰でも綺麗でパンチの効いたサウンドを作れる時代だけど、それが逆にチープと言うか、偽物の音に聴こえるんですよね。オールドなサウンドにただ打ち込みやエレクトロの音を乗っけても、取って付けた感じに聴こえる。僕らが常に意識するのは、ルーツを感じられて、さまざまなジャンルの音が共存しているもの。究極のセンスとバランスですね」。

 『RARA』とは、ラテン語で〈稀な、特別な人・もの〉と訳される〈rara avis〉から来たもの。本作には、ファンや自分たちに向けて〈人は誰しもが特別な人〉というメッセージを込めたそうだ。「誰かの思いや空想ごとではなく、今、目の前で現実に起こって、感じて、思うものを」常に意識しているという本作のリリックは、海外のフェスへ出演したりといったグローバルな活動スタンスゆえに、〈自分〉というひとりの人間に改めて視線を向けたことによるものかもしれない。

 「海外に行くことが増えたのももちろんありますが、自分が出会った人や、友人、あとはツアーやライヴでファンと交流したときに聞いた話や想いとか、いろいろなものがリンクしたのがきっかけですね。世界意識じゃないですけど、世の中がそういう意識に向いている感覚というか。日本の自殺者の数も尋常じゃないし、他人事じゃないですから。僕の友達や周りでもいるし、東京に出てきてから特に今回のテーマを感じることが多くなりました」。

 大まかには〈ラウド・ロック〉と形容されるNOISEMAKERの音楽だが、その方向性は多種多様。エフェクトをかけたAGの声が響く深淵なオープニングSE“RARA AVIS”から、一気に強靭なバンド・サウンドを解き放つ“NAME”といった重量感のあるものはもちろん、エキゾチックな空気感や叙情的なギター・ソロが神聖な印象を与える“Dharama Light”や、暗闇で揺らぐ一縷の光へ手を伸ばすようにシリアスかつディープな“One Day”では、「周りでこのサウンドを鳴らしてるバンドはまずいないと思う」という、持ち前のオルタナ・スピリットが炸裂。また、清涼感のあるエレクトロニクスが心地良く、〈デカい会場で聴きたい!〉と思わせる壮大なサウンドスケープが印象的な“To Live Is”など、さまざまな楽曲が並んでいる。

 「“Dharama Light”は、HIDE(ギター)が〈思いっきり古い音でやりたい〉って話していて、ファズを使ったんですよ。それが今の時代には逆に新しく聴こえたりするんじゃないかな。“To Live Is”は、まさしくスタジアム級の広さを意識した曲です。U2やサーティー・セカンズ・トゥー・マーズ、リンキン・パークみたいに、広い会場で何千、何万の人をジャンプさせる光景が昔からの夢だから、絶対にそこまでこの曲を持って行こうと思います」。

 加えて注目したいのは、今作のヴィジュアルはNY在住のストリート・アーティスト、WKインターアクトが描き下ろしているという点。氏は約4日間に渡り、渋谷のビルに12mの巨大グラフィティーをペインティング。その写真が今回のCDジャケットなどに使われている。

 「WKとのコラボは、まずは〈信じられない〉って思いましたね(笑)。本当にストリート・アートの世界を知ってる人からしたら事件ですからね。バンドを組んだ時に〈いつか〉と思い続けてたことが叶った瞬間だったので、本当に嬉しかったです」。

 ストリート・アート界のスターを動かしたように、彼らの音楽は人種や国籍を問わず、多くのリスナーの心をここからさらに揺さぶっていく――『RARA』は、そう確信させる一枚となった。

 「まず、リアルに音楽が好きな人に届いてほしいですね。そして共に発信者になってほしい。そういう人の声が何よりも強い拡声器になるし、そうやってリアルに聴いたファンの手によって世界へ広がっていったら、スタジアム級の会場に辿り着いたとき、見える景色は違ってくるだろうから」。

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