Jの閉鎖でRCAに移るも契約を失ったマリオが、お蔵入りや延期を重ねて9年ぶりに放った新作。UKアーバン・ポップ職人のジェイク・ゴスリングと組み、xSDTRKやライアン・マクダーモットらの手も借りた楽曲は本人いわく〈コズミック・ソウル〉とのことで、US R&Bの枠を越えてUK的なクラブ・サウンドの要素も取り込むなど新たな一面を見せる。スロウからアップに切り替わる“What You Started”のようにサム・スミス風の寂寥感とニーヨに通じるポップネスが並立する妙味と先鋭感はフランク・オーシャン好きな諸兄にも勧めたい。気鋭デイコルム制作のミッド“Good Times”では、あのバディ・ガイ御大が控えめにブルース・ギターを披露。ティーンの頃から評判だった歌唱が濃いままクールに響く秀作だ。