INTERVIEW

武田理沙『Pandora』 注目のピアニスト/ドラマー、ソロデビュー・アルバムが凄いことになっている!

Photo by Shinya Matsuyama

 

注目のピアニスト/ドラマー、ソロデビュー・アルバムが凄いことになっている!

 フランク・ザッパの曲を生ピアノでガシガシ弾きまくる若い女性のライヴ映像をネットで観て驚いたのは半年ほど前のことだった。名前は武田理沙。調べてみると清水一登や組原正などそのスジのクセ者たちと共演したり〈John Zorn's COBRA〉に参加したりと、なるほどなキャリア。

 そんな彼女が8月に出した待望のデビュー・アルバム『Pandora』がいきなりすごかった。全16曲の作・編曲、キーボードやドラム、エレクトロニクス等の演奏のみならず録音とミキシングまですべて一人でこなした約130分の2枚組。制作には2年近くが費やされたという。

武田理沙 Pandora MY BEST! RECORDS(2018)

  「3才からピアノを習い、大学時代にドラムを始め、7年前に上京してからライヴハウスでいろんなセッションに参加するようになったんだけど、一人で多重録音するのが自分の理想とする音楽に一番近づけると思って。一部のスキもないものを作ってみたかった」

 どの曲も極めて複雑かつ強迫的だが、大雑把に言うと、アッパーでポップな1枚目とダークでノイジーな2枚目。全体的にはキング・クリムゾンとディス・ヒートとエイフェックス・トゥインとオウテカとドビュッシーとプロコフィエフが笑いながら血みどろの殴り合いをしている…そんな感じか。大半はキーボードでの即興の中から気に入った部分を発展させてゆく「即興をベースとした作曲」だが、「即興時のディストーンとかリズムのヨレなどは極力修正しないでそのまま生かしている」という。

 「コンセプトというほどでもないけど、1枚目はポジティヴに見られたい自分というか理想とするイメージで、2枚目は真逆の、自覚している自分のイメージ」

 特に2枚目は、終始レッド・ゾーンを振り切っているような音圧の高さ、バースト感も異常だ。

「マスタリングの時にエンジニア(中村宗一郎)さんからも苦笑いされて。でも私は、そうしたかった。音圧などをきれいに揃えちゃっても面白くないし、そもそもなぜリスナーの気持ちを考えて作らなくちゃいけないんだという思いがあって(笑)。自分が納得すればいいという気持ちが特に強く出たのが2枚目です。とにかく自分が満足するものを作りたいと思った。私は人の言うことをけっこう気にするタイプなんだけど、本作に関しては何を言われてもまったく動じないし1ミリの後悔もない」

 初めての作品、しかも宅録ということもあり、いろんな点でアマチュアっぽさがあるのも事実。だが、卓抜した演奏技術と爆発的パッションを圧縮した奇想の玉手箱である。自信に満ちたジャケの顔が、清々しい。

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