例えば自分の半生を振り返ってみて、〈なぜいま自分はここにいるんだろう〉とか、もっとネガティヴな意味を含めて〈なぜあの時あんな行動をしたんだろう〉とか思うことはありませんか。しかし、そんな疑問に対してJ-Pop界の巨人は、〈それぞれの形には そうなるための理由がある〉と答えを提示してくれる。自分も他人も、すべてのモノも、いまそういうデザインになっているのは、それ相応の理由がある。当たり前のようでいて、意外と見落としがちな気付きがそこにはある。
22作目のオリジナル・アルバムとなる本作には、そういった〈理由に由来する機能美を兼ね備えた〉佳曲を10曲収録。美しい景色を歌ったバラード“朝が来るよ”や“ただただ”、オリエンタルな雰囲気で闇のなかから希望を歌う“キボウノヒカリ”、意外な歌謡曲調で思わず笑いがこぼれる“微妙なお年頃”など、聴く者を飽きさせない。それにしても先述の一節も含んだ表題曲“Design & Reason”の歌詞は素晴らしく、国語や音楽の教科書に載っていてほしいレヴェル。