美声と共にどこまでも広がる秦 基博ワークス!
ライヴでの弾き語りを出発点に、ルーツィーなアメリカン・ポップからヤングなソウル調まで、楽曲の特性に合わせて多様なサウンドに挑戦してきた秦。その音楽性の豊饒さもあってか、他アーティストからのラヴコールも多く、外仕事の経験も豊富だ。
まず目立つのがヴォーカリストとしてのモテっぷり。〈鋼と硝子でできた声〉とも称されるスペシャルな歌声は、大橋卓弥(スキマスイッチ)やさかいゆうらオフィスオーガスタの同士はもちろん、平井堅から大橋トリオ、ムッシュかまやつにまでゲスト参加を求められるほど。なかでも、松本隆作詞の甘い憂いを帯びたバラードで美声を聴かせる冨田ラボ、旗本ひろしという〈レキシネーム〉で足軽先生(いとうせいこう)と共にビル・ウィザーズ“Lovely Day”ばりの開放的なグルーヴを生み出したレキシとのコラボはぜひ耳にしてほしい。
また、楽曲提供では女性アーティストとの絡みが多く、一青窈のたっての希望で書き下ろしたという“空中ブランコ”は、後に秦自身も一青を迎えてセルフ・カヴァー。土岐麻子に贈った親密感のあるスロウ“やわらかい気配”ではデュエット相手も務めている。南波志帆“髪を切る8の理由。”でも顕著なメジャーとマイナーを巧みに重ねる秦らしいコード感には繊細さもあって、凛とした雰囲気が女性ヴォーカルの魅力も引き出すようだ。
その他にも、オーガスタ勢が集結したユニット=福耳での活動や、ラジオ局のキャンペーン・ソング“僕の今いる夜は”でコラボ歴のある槇原敬之、そしてTHE YELLOW MONKEYのトリビュート盤への参加などもアリ。意外なところでは、熊本が誇るゆるキャラ、くまモンのシングル“くまモンもん”でギターを弾いていたりも。これは本人の見た目がテディベアっぽいから……ではなく、お隣りの宮崎出身という縁からみたい!
▼関連作品
左から、冨田ラボの2010年作『Shipahead』(rhythm zone)、レキシの2014年作『レシキ』(Colourful)、一青 窈の2008年作『Key』(コロムビア)、土岐麻子のベスト盤『BEST! 2004-2011』(rhythm zone)、南波志帆の2012年作『乙女失格。』(ポニーキャニオン)、2011年の槇原敬之のトリビュート盤『We Love Mackey』(ソニー)、2009年のTHE YELLOW MONKEYのトリビュート盤『THIS IS FOR YOU ~THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM』(ARIOLA JAPAN)、くまモンの2013年のシングル“くまモンもん”(アップフロントワークス)
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