デビュー20周年の節目に初録音&記念リサイタルを開催!!

 「音色とテクニックの完璧さもさることながら、随所にちりばめられた音楽表現に肝をつぶしたものです。凄いヴァイオリニストが出てきたものだと」とは、世界的ヴァイオリニストの堀米ゆず子が〈彼女〉を評した言葉。97年のパガニーニ・コンクールで史上最年少入賞を果たし、現在はオランダで教鞭をとりながら国際的に活躍する米元響子だ。そんな〈凄いヴァイオリニスト〉が、2018年にデビュー20周年を迎えたのを記念して待望の初録音を発表した。

米元響子 イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタop.27 全曲~新発見の未完のソナタ ハ長調を含む キングインターナショナル(2019)

 「昨年からサントリー芸術財団の貸与楽器(1727年製ストラディヴァリウス)を使い始めました。豪快かつ明るい音色と、大ホールの隅々にまで届く音量を持ったこの楽器の力を借りてなら、そろそろ録音してもいいかなと思ったのです」

 収録曲は、デビューの頃に初めて弾いたというイザイの無伴奏ソナタ全曲だ。

 「自身が優れたヴァイオリニストでもあったイザイは、J.S.バッハの無伴奏作品を強く意識しながら6つのソナタを作曲し、各曲をシゲティ、エネスコ、ティボー、クライスラーといった名手や弟子に献呈しました。ユーモラスな第2番(ティボー)、エスプリにあふれた第3番(エネスコ)、正統的でエレガント第4番(クライスラー)など、各々の国籍や音楽性に合ったバラエティ豊かな作風が魅力だと思います。今回は2016年に校訂されたばかりのヘンレ版楽譜に基づき、イザイの手稿譜をはじめとした様々な資料も参考に、録音に臨みました」

 「ライヴ感と繰り返しの視聴を楽しめる作り込みを備えた演奏を目指しました」と米元が語る今回の新譜は、文字通りの〈全曲録音〉。上記の6曲に加え、未完の新発見ソナタが収録されているのも大きな聴きどころだ。

 「ベルギーに残されていた手稿譜集の中から近年発見された作品で、第3楽章の途中で筆が止まっています。譜面には〈第6番〉とあり、調性がハ長調なのは、J.S.バッハの無伴奏作品の最後を飾るソナタ第3番がハ長調であることを意識したのかもしれません。技巧的にも音楽的にも難曲でしたが、尊敬するウルフ・ヘルシャー先生に指導を仰ぎながら、自分なりに解釈をし、仕上げていきました」

 3月にはデビュー20周年記念リサイタルを開催。当盤の収録曲(第4&6番)と、菊池洋子(ピアノ)とのデュオによるモーツァルトのソナタ(第32、40、42番)を組み合わせたプログラムを披露する。モーツァルトの全曲演奏プロジェクトも進行中の菊池と米元が織りなす珠玉のデュオ、そしてイザイの無伴奏における録音との聴き比べが実に楽しみだ!

 


LIVE INFORMATION

デビュー20周年記念 米元響子 ヴァイオリン・リサイタル
○3/2(土) 14:00開演 会場:浜離宮朝日ホール

東日本大震災 復興支援 チャリティコンサート~クラシック・エイドVol.9~
○3/9(土 )14:00開演 会場: 東京オペラシティコンサートホール

都響・八王子シリーズ
○4/6(土)14:00開演 会場:オリンパスホール八王子

第66回市民会館名曲シリーズ ロシアン・マスターピースⅠ
○4/11(木)18:45開演 会場:日本特殊陶業市民会館フォレストホール

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