独自のエレクトロニカ道を邁進する異才が放った、ポルトガル語で〈今〉を意味するソロ7作目。スタジオを失ったため自室でのワンマン作業になったことが逆に吉と出たようで、最低限の機材で挑んだストイックな電子音響と過激に変調されたギターが、とことん硬質で奇妙に美しいサウンドのシュプールを描いている。叙情性を極めた前作とはまた異なるフェイズへと歩を進めた、フェネスのいまがここにある。