グスタフ・マーラーの交響曲を再構築したアルバム『マーラー・リミックス』。元々2014年に配信のみでリリースされた本作だが、タッチからのLP化を機に、日本限定でCDもリリースの運びとなった。音源自体は2011年ウィーンでのライヴから収録されたものだが、彼特有のエモーショナルかつデリケートなノイズの靄から浮かび上がる交響曲は、フェネス作品でも屈指の美しさで、5年の時を忘れさせて新鮮な響きで耳に飛び込んでくる。また2014年発表のアルバム『Bécs』に収録された“Liminality”の初期ヴァージョンも披露されている点にも注目したいところ。但し曲名が〈Mahler Remix〉で統一されているが……。