~前置き~
そもそものきっかけはナタリーの記事で〈いまの音楽メディアは本当つまんねー〉と書いたところちょこちょこ反響をいただいて、じゃあおもしろい音楽メディアの人(おもに編集者)に話を訊いて、それをブログにまとめたらおもしろメディアの横での繋がりが生まれるんじゃないかな、と思ったんです。ブログ名の〈同業多謝〉もそこから思い付きましたが、編集者以外にも会って話を訊きたい人がどんどん出てきてしまったので、もっと広く、音楽業界周辺にいる会いたい人に会いに行って不定期に更新するブログ、にしたいと思います(逆に、出てみたい人も募集しようかなと思ってます)。
1回目に会いに行ったのは、いま個人的に一番気になるギタリストのqurosawaさん。なぜかって、プレイがかっこいいし、髪型が不思議だし、活動が多岐にわたっていて、いまより有名になる前に友達になりたかったからです。
――まずはqurosawaさんのいまの活動の全容を教えてください。本業は保育士さんらしいけど、メインの活動は……?
「一応ギタリストです。参加したのが古い順に言っていくと、まずPOLLYANNA。自称・最新型渋谷系バンドです。次に侍文化。これはYouTuber兼バンドで、雰囲気の割にめちゃめちゃいいギター・ロックをやります。3つめがサンプリエ。最近僕がやりたくて始めた2人ユニットで、ゼロ年代青春ギター・ロックを復活させることをコンセプトにしてます。そして4つめが眉村ちあきベイビーズ。いま所属しているのは、この4つです」
――それ以外に、サポート・ギタリストとしても活動していて。
「ライヴではTWEEDEESとmeiyoのサポートをしています。他にも、ぱいぱいでか美さんのサポートを一度だけしたりとかいろいろ参加してきました。レコーディングも入れると、〈バンめし♪〉っていうメディアミックス企画で、元・カラスは真っ白のやぎぬまかなさんの楽曲でギターを弾いたり、同じくPOLLYANNAの飯島快雪・斎藤モトキのコンビの楽曲でも弾いたりしてます。あとはカゴメのWEB CMの曲で弾いたりしてますね」
――保育士のかたわらでやるバンドの量じゃない気が……(笑)。
「ただ、これからはギターの仕事をもっと増やしたいので、ちょっと働く形態を変えて保育士の割合を減らすことにしました。ちゃんとギタリストが本業だと名乗れるように。でも、意外と子供たちには人気です(笑)」
――なんかわかる気がする(笑)。
「ライヴの日も、午前中出勤してからライヴに向かうとかよくあります。だから、ここ1年は過去最高に忙しかった年でしたね。保育園の人や保護者の方々には、外での活動の話は特にしてないんですけど、どうやら誰かが例の番組に出てることを知ってしまったみたいで」
――そうだ! いまAbemaTVの「DTテレビ※」にも出ていて、そちらも話題で。
※AbemaTVのAbemaSPECIALで毎週金曜23時から放送中の、すべての童貞と元童貞にささげる童貞の、童貞による、童貞のための番組。過去放送はhttps://abema.tv/video/title/90-765から。
「はい、ギタリストDTとして出演しています。とはいえ、芸人さんでもないので今後こちらの道で需要があるとは思えないですし、いつまで呼んでいただけるか……(笑)。DTは卒業したいけど卒業したら番組に出られなくなっちゃうし、ジレンマと戦いながら出演しています」
――「DTテレビ」効果はデカいですか?
「この番組がきっかけで、ぱいぱいでか美さんと共演して、普段のサポート・ギターの方が出られない時に一度だけ誘っていただいたり、そこで対バンした相手が眉村ちあきさんだったりして、ここからいろいろ繋がっていったので大きいですね」
――そこで眉村さんに熱烈に自分を売り込んだんですよね。
「そうです。眉村さんって曲も歌もめっちゃ良いし、変だし、すごく印象に残るステージで。だから〈バンド形態でやらないんですか!? もしやるなら使ってください〉って言って。その時の眉村さんは苦笑いしてましたけど、そこからバンド編成を考えてくださったみたいで、数か月後に連絡が来たんです。でも、バンドでやるって決まった後に眉村さんがいろんな番組とかで有名になり、最近はご本人が忙しすぎるみたいですけど。眉村さんって本当すごい人で、即興もすごいんですけど、その即興で歌った歌が後日すぐにちゃんとしたトラックになってたりして、気付いたらバンドでやる曲リストの中に入ってたりするんです」
――天才というか、ぶっ飛んでますよね。
「一種の天才ではありますけど、天才という言葉で片付けてはいけない何かがあると思います。ライヴがめちゃめちゃステキで、お客さんはみんな笑顔なんです。僕は一緒に出る側のはずなのに、気付くとファンみたいになってます(笑)」
――話を戻して、そもそもPOLLYANNAに加入することになったきっかけを教えてください。
「昔参加していた変わる変わる変わる。というギター・ロック・バンドのドラマーの紹介で、現POLLYANNAの斎藤、飯島と知り合ったんです」
――いま渋谷系を名乗ってるPOLLYANNAとは一見繋がらない系譜ですね。
「POLLYANNAが特殊で、僕もPOLLYANNAからこういうジャンルを始めたんです。でもギターのフレーズは結構任せてもらってるので、何弾こうかなって毎回楽しみにしてます」
――そういうところが沖井(礼二/TWEEDEES)さんの目にも止まったんでしょうかね。
「沖井さんには本当にお世話になっていて。POLLYANNAは、一般的にジェネリック版Cymbalsみたいに捉えられがちなんですけど、実はおおもとの影響を受けてきたルーツはだいぶ違うもので。そういうところが沖井さんにも認めていただけたのかな、とは思います。もちろんCymbalsやTWEEDEESにも影響は受けてはいます」
――それから、POLLYANNAのドラマーのワタナベタカシさんとは、meiyo、侍文化とさまざまな活動でご一緒してますよね。
「一緒にいる時間は一番長いですね。もともと別のバンドで対バンしたりして顔見知りではあったのですが、それからPOLLYANNAでバンド・メンバーになり、彼のソロであるmeiyoも一緒にやり、自分たちでバンドもやりたくなって侍文化も組んでしまったという(笑)」
――で、昨年結成したのがqurosawa史上初、作編曲もするというサンプリエ。いくつバンドやユニットをやるんですか(笑)。
「ある人に〈クロ、お前は自分の感性を信じてユニットをやれ〉と言われて、自分の曲も作りたかったし、ユニットもやってみたかったので組んだのがサンプリエです。その時に真っ先に思い浮かんだメンバーが深澤(希実/Charles)で。彼女は僕と同じくギター・ロックが好きで、バンドや音楽に対する精神性も近かったんです。自分が初めてメインで作編曲をするバンドなので、自分の名刺代わりになるような活動にできればと思ってます」
――じゃあ最後に、今後どんなギタリストになりたいですか?
「曲とバンドの景観を損なわないようにですけど、四コマ漫画みたいに誰がいつ見ても楽しめるようなギターを目指したいなって思います。ROLLYさんみたいに、ギターをエンターテイメントに昇華できるようになりたいです」
――楽しみにしてます! アッチの方も早く卒業できますように!