「THE BEATNIKS Live 2018 “ビートニクスがやってくる! シェ! シェ! シェ!”」がやってきた!

 1981年の結成より、断続的に活動を行ってきた高橋幸宏(元YMO)と鈴木慶一(ムーンライダーズ)のユニット、THE BEATNIKS。彼らが2018年5月11日に東京・EXTHE THEATER ROPPONGIで行ったライヴの模様を収録した全20曲、2枚組のアルバムが、1年の時を経てリリースされた。

THE BEATNIKS NIGHT OF THE BEAT GENERATION Better Days/コロムビア(2019)

 ゴンドウトモヒコ(euph, computer)、砂原良徳(synth)、矢口博康(sax, cl)という、オリジナルアルバムのレコーディング参加メンバーに加え、以前からライヴの際に加わってきた白根賢一(ds)、高桑圭(b)、堀江博久(key)、そして相対性理論の永井聖一(g)という新鋭が加わった厚い布陣から繰り出されるのは、ヘヴィーでオルタナティブ、そして時にサイケデリックでテクノポップ的要素を感じさせるサウンド。大ベテラン、60代のふたりを中心としたユニットのライヴとは思えないほど、ノスタルジックな要素は抑えられており、とにかくパワフル。しかるにミディアムテンポなものが中心で、卓越した演奏力で再現されるため、安心して聴き入ることができる。

 曲目は、全体的に昨年リリースした最新作『EXITENTIALIST A XIE XIE』からの曲を中心に、80年代の曲《RIVER IN THE OCEAN》《COMMON MAN》などを挟み込みながら展開。また、鈴木、高橋のソロ・アルバムに収録されている名曲《LEFT BANK》も取り上げるなど、ファンならば垂涎のセットリスト。バンド名が体現しているような、ハングリーでアイロニカルなスピリット、そしておふたりならではの知的でユーモラス、かつおしゃれでポップな要素でまとめあげられたザ・ビートニクスの世界観を、多面的に表現する豪華なミュージシャン陣。その音の厚みとじっくりと堪能できる今作は、ライヴに行かれた方はもちろん、即売り切れで涙をのんだ方にはなによりうれしいプレゼントになりそう。