長年のコラボレーターであるノア・ジョージソンやヴァシュティ・バニヤンが参加し、なんと京都の寺院でも録音されたという興味深い最新作。彼らしいサイケでフォーキーな音像が楽しめるが、ポルトガル語やスペイン語で歌ったりと無国籍感が半端ない。特に“Kantori Ongaku”は日本語の歌詞も含む細野晴臣へのオマージュ曲で、見事な〈逆輸入〉の和製オルタナ・カントリーに仕上がってます。

 


〈大いなる母子の愛〉をテーマに据えた〈ノンサッチ〉から3作目となるアルバム。今回もノア・ジョージソンと二人で制作したそうで、ミニマルでアコースティック、無国籍でジャンルレスないつもの変わらぬデヴェ様ではあるが、スペイン語やポルトガル語で歌う曲があり、細野晴臣へのオマージュ“Kantori Ongaku”では日本語も交えるなど、国境という既存の枠組みをますます薄め、飄々と飛び越えている。彼にとって〈母〉の原型であり、最も重要な人物というヴァシュティ・バニヤンとのデュエット“Will I See You Tonight?”に代表される、とても穏やかで包み込むようなトーンが印象的なアルバムだ。